ロームは、リチウムイオン電池など従来の二次電池だけでなく、近年開発が進む全固体・半固体などの低電圧充電を必要とする新型二次電池の充電にも対応する充電制御IC、「BD71631QWZ」をリリースしました。二次電池を搭載するワイヤレスイヤホンなどのウェアラブル機器やスマートディスプレイなどの、小型・薄型IoT機器などの低電圧充電に対応します。
小型・薄型のウェアラブル機器やIoT機器では、より安全で高密度な二次電池に対するニーズが高く、電解部に新たな材料を用いた全固体・半固体電池や電極材料を変えた電池など、新型二次電池の開発が進んでいます。これらの新型二次電池は、2V~3Vの低電圧充電を必要とすることから、従来の充電制御ICには対応できるものがほとんどありませんでした。BD71631QWZは、このような低電圧充電のニーズにも応えるため開発されました。
<低電圧充電に対応する充電制御IC「BD71631QWZ」のキーポイント>
低電圧充電に対応する充電制御IC「BD71631QWZ」の特長
BD71631QWZは、低電圧充電対応、小型・薄型パッケージ、柔軟な充電特性設定が大きな特長になります。加えて、スタンバイ時の二次電池からの放電0μA(Typ.)を実現したことで機器の動作時間を延ばすことが可能です。また、各種保護機能を搭載しており、充電中の安全性が向上します。
低電圧充電が必要な全固体・半固体などの新型二次電池充電に対応
BD71631QWZの出力電圧は外付けの抵抗器で設定するので、充電電圧範囲を2.0Vから4.7Vまで簡単に設定できます。1セルのリチウムイオン二次電池はもちろん、低電圧充電を必要とする全固体・半固体などの新型二次電池まで幅広く対応します。
薄型二次電池を搭載するアプリケーションに最適なパッケージサイズ
BD71631QWZのパッケージは、独自技術により、1.8mm×2.4mm×0.4mmの小型・薄型を実現しています。一般品(3.0mm×3.0mm×1.0mm)と比較して、実装面積を約50%低減、そして約60%の低背化が可能です。周辺部品と同等の高さであることから、機器の小型・薄型化要求に有用です。特に、シート状の超薄型二次電池を搭載するウェアブル機器や小型・薄型IoT機器に最適です。
二次電池の特性に合わせた最適なCCCV充電が可能
BD71631QWZは、外付け抵抗器によってCCCV(定電流定電圧)充電の充電特性(充電電圧、充電電流、終止電流、再充電電圧)を個々に設定できます。そのため、様々な容量の二次電池の特性に合わせた最適な充電が可能です。また、設計途中に電池の変更が必要になった場合には、充電制御ICを変更することなく設定を変更するだけで済みます。
BD71631QWZの仕様、応用回路例、内部ブロック図
以下に、BD71631QWZの主な仕様と、応用回路例、内部ブロック図を示します。詳細はデータシートで確認願います。
品名 | BD71631QWZ |
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電源電圧 | 2.9V~5.5V |
充電電圧 | 2.0V~4.7V |
充電電流 | 1mA~300mA(VIN≧4V, VIN-VOUT≧1V) 1mA~100mA(VIN≧4V) 1mA~30mA(2.9≦VIN≦5.5V) |
スタンバイ時電池放電電流 | 0μA(Typ.) |
保護機能 | セーフティタイマー、温度保護、低電圧誤動作防止、過電圧保護、電池温度検知* |
動作温度 | -30℃~+105℃ |
パッケージタイプ(寸法) | UMMP10LZ1824(1.8mm×2.4mm×0.4mm) |
*NTCサーミスタ外付け必要