回路シミュレーション

DC-DCコンバータの熱シミュレーションとは

2022.05.17

この記事のポイント

・ROHM Solution Simulatorの熱解析機能は以下の特長を持っている。

  • – パワー半導体やICと受動部品による回路の電気・熱連成解析。
  • – 回路動作時の半導体チップ温度(ジャンクション温度)に加えて、端子温度や基板上部品の熱干渉まで解析可能。
  • – 従来1日近くの時間を要した熱解析シミュレーションを10分以内で実行。
  • – 熱解析が簡単にできるので事前に十分な熱設計できるため、試作の再作業が減り開発工数を削減可能。

「DC-DCコンバータの熱シミュレーション」では、ROHM Solution Simulatorを使って、80V耐圧5A出力のDC-DCコンバータIC BD9G500EFJ-LAによる電源回路の回路動作シミュレーションと、このICと外付け部品であるショットキーバリアダイオードRB088BM100TLの温度シミュレーションを同時に実行することが可能なシミュレーション環境と、その使用方法について説明します。

ROHM Solution Simulatorの熱シミュレーションとは

このシミュレーションは、ROHM Solution Simulatorに追加された熱解析機能を使用します。最初にこの熱解析機能の概要を説明します。

ROHM Solution Simulatorに追加された熱解析機能は、ROHM Solution Simulator用のシミュレーションモデルであるSolution Circuitに含まれる形で提供されます。現在、熱解析機能を備えたSolution Circuitは10点あり、今後順次追加されて行きます。ここで使用するBD9G500EFJ-LAのSolution Circuitも、この10点の内の1つです。

ROHM Solution Simulatorの熱解析機能は以下の特長を持っています。

  • ・パワー半導体やICと受動部品による回路の電気・熱連成解析。
  • ・回路動作時の半導体チップ温度(ジャンクション温度)に加えて、端子温度や基板上部品の熱干渉まで解析可能。
  • ・従来1日近くの時間を要した熱解析シミュレーションを10分以内で実行。
  • ・熱解析が簡単にできるので事前に十分な熱設計できるため、試作の再作業が減り開発工数を削減可能。

この熱解析機能は、実基板から算出した放熱に関するパラメータを熱流体解析ツールで3Dモデル化し、電気回路シミュレータで熱解析できるよう1Dに低次元化して、電気と熱を連成解析するものです。連成解析とは、電気、熱、流れなど、異なる2つ以上からなる領域の連成現象を処理し、定常および過渡の状態を計算する解析手法です。以下にイメージを示します。

ROHM Solution Simulatorの熱解析機能。電気・熱連成解析

この熱シミュレーションでは、回路動作時に変化する半導体ジャンクション(チップ)温度TJ、パッケージ上面温度TT、はんだ面温度TFINに加えて、SPICEベースの熱モデルでは不可能だった基板上の周辺部品温度、モジュール内チップの熱干渉なども確認することができます。

ROHM Solution Simulatorに熱解析機能。半導体ジャンクション(チップ)温度TJ、パッケージ上面温度TT、はんだ面温度TFINに加えて、SPICEベースの熱モデルでは不可能だった基板上の周辺部品温度、モジュール内チップの熱干渉なども確認することができる

また、シミュレーション時間も大幅に短縮されています。従来このような熱解析シミュレーションは十数時間から1日近くの時間を要するものでしたが、ROHM Solution Simulatorでは10分以内で実行することができます。

ROHM Solution Simulatorに熱解析機能。シミュレーション時間を大幅に短縮

ROHM Solution Simulatorでは、以上のような熱解析が可能です。

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