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2022.03.15 DC/DC

事例1 : 手はんだによるICおよび周辺部品の破損

リニアレギュレータを使った電源が起動しないトラブル事例

この記事のキーポイント

・電源回路が起動(動作)しない原因の1つとして、手はんだによるICや周辺部品の破損が考えられる。

・ICや周辺部品を手はんだで基板実装する場合は、各部品の手はんだ推奨条件を遵守する。

・部品が表面実装、また小型になればなるほど、手はんだ時の熱や機械的ストレスによって破損する可能性が高くなる。

LDOや3端子レギュレータなどと呼ばれるリニアレギュレータは、設計が簡単で安価であることも含めて、様々なアプリケーションに使われており、電子回路の設計者であれば誰もが使ったことのある電源ICだと思います。しかしながら、取り扱いや使用条件、また負荷の種類によっては起動しないというトラブルを起こす場合があります。この「リニアレギュレータを使った電源が起動しないトラブル事例」では、リニアレギュレータICを使った電源回路において電源が起動しないという事例を示します。

事例1:手はんだによるICおよび周辺部品の破損

リニアレギュレータICおよび周辺部品は、はんだによってPCB(プリント基板)に実装されます。量産時は自動機によってはんだ付けの温度と時間が管理されているため、通常問題は発生しません。しかし、試作やリワークなどではんだごてを使用した手はんだでは、ICや周辺部品に破損が生じて電源回路が起動しない(動作しない)トラブルになることがあります。

ICの実装条件は、ウェブサイトの該当製品ページの「パッケージと品質データ」の「実装仕様書」に記載されています(例:ロームサイトへのリンク)。はんだごてによる手はんだ実装が可能なパッケージについては推奨条件が記載されているので、それを遵守してはんだ付けを行います。以下に条件例を示します。

<TO252-3パッケージのはんだごて実装推奨条件の例>

  • ・はんだごて温度:380℃以下
  • ・実装時間:4 s以下(端子1本あたり)

TO252-3パッケージの外観。

しかしこれを超えると、パッケージのクラックや内部ボンディングワイヤーの外れなどが生じ、ICが破損する可能性があります。また、はんだごてによる実装を推奨していないパッケージで、試作時などにやむを得ずはんだごてを使用する場合には危険度が増すので、最新の注意をもって短時間ではんだ付けを行う必要があり、回路が正常に起動(動作)しない場合はICの破損を疑ってください。

また、手はんだによって破損が生じる可能性があるのはICだけではなく、抵抗器やセラミックコンデンサなどの周辺回路を構成する表面実装部品についても同様です。各部品についてデータシートなどで手はんだの推奨条件が提示されているので、それを遵守してはんだ付けを行います。以下に条件例を示します。

<抵抗器の手はんだ推奨条件の例>

  • ・こて先温度:350℃
  • ・はんだ付け時間:4 s Max.
  • ・回数:1回
  • ・ワット数:20W Max.

※0603(0201)、0602(01005)サイズを除く

基本的に、部品サイズが小さくなるに従って、はんだごてによる実装は部品が破損する可能性が高くなります。特に1005(0402)サイズ以下の部品は外的応力に弱く、熱の加えすぎやこて先からの外力などによって端子電極の剥離が起こり、オープン故障に至ります。特に同じ部品の使い回しは可能性が高くなります。端子電極の剥離は目視で判別することは困難です。分圧抵抗によって設定した出力電圧が出ない場合や、異常な波形が現れる場合は周辺部品の破損を疑ってください。

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