この記事のキーポイント
・DC/DCコンバータの設計においてインダクタと入出力コンデンサの選定は特に重要。
・回路動作、電流経路、各部品が何を担うのかを理解することが必要。
・設計マニュアルに則り計算し、実測により最適化を行う。
DC/DCコンバータ:設計編、「DC/DCコンバータのインダクタとコンデンサの選定」のまとめです。
インダクタとコンデンサは降圧型DC/DCコンバータの重要部品であり、その選択により性能や特性に大きな影響を及ぼすのはこの章で述べてきたとおりです。その選定に関しては、ほとんどの場合利用する電源ICのデータシートか、アプリケーションノートや設計マニュアルなどといった補足資料で説明されています。まずは、それらの説明や式を利用して設計を行います。
ただ、残念ながらマニュアル通りに設計したからといって、最適な動作をしているとは限りません。その際には、評価後に定数を変更することになりますが、闇雲に変更すると収拾がつかなくなったり、問題はなくなったけどなぜ良くなったかがわからないなど、量産に移行していいのか確信が持てない結果になることがあります。
このようなことにならないためには、降圧型DC/DCコンバータの基本動作とそれに伴う電流の流れを理解することが重要です。また、インダクタンスや静電容量が変化すると、何がどの様に変化するのかということを算出式からはもちろん、実測に基づく経験も含めて知っておく必要があります。
以下、各項のまとめになります。
DC/DCコンバータのインダクタとコンデンサの選定
- ① 降圧型DC/DCコンバータの基本回路・電流の流れ・動作原理
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- DC/DCコンバータの設計においてインダクタと入出力コンデンサの選定は特に重要
- 回路動作、電流経路、各部品が何を担うのかを理解することが必要
- ②インダクタの選定
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- 必要なインダクタンスLを計算する
- インダクタに流れる最大電流を計算する(出力電流+1/2リップル電流)
- 計算したL値(または近似)で、インダクタ飽和電流が計算した最大電流以上のインダクタを選ぶ
- 短絡や過渡状態では計算の最大値以上の電流が流れる場合があるので、最大スイッチ電流を基に選択する考え方もある
- 基本的には計算に基づきマージンを考慮する
- マージンの取り方は、会社の設計ルールや、経験則に基づく
- ③出力コンデンサの選定
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- 出力コンデンサの選定における重要な要素
1)定格電圧
2)リップル定格電流
3)ESR(等価直列抵抗) - コンデンサに印加される電圧およびリップル電流は、コンデンサの最大定格以下にする必要がある
- ESR はインダクタ電流に関連して出力リップル電圧を決定する重要な要素
- 出力コンデンサの選定における重要な要素
- ④入力コンデンサの選定
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- 入力コンデンサの選定における重要な要素
1)定格電圧
2)リップル定格電流およびリップル発熱特性
3)セラミックコンデンサを使う場合:温度特性とDCバイアス特性 - 定格電圧は最大入力電圧より高い必要がある
- 定格リップル電流は、ICの入力に発生する最大入力リップル電流よりも大きい必要がある
- 降圧コンバータでは、瞬間的な入力電流の最大値は出力電流と同じになる
- 入力コンデンサの選定における重要な要素
以上