この記事のキーポイント
・キルヒホッフ則は伝達関数を導出するための重要な法則。
・インピーダンス表記が必要になるので、時間の逆数として角速度ωを使う。
・複素数が出てくるのは、電気回路で複素数は応答時間を表すため。
伝達関数をブロックごとに具体的に求めていく前に、伝達関数を導出する上で重要な2つの法則について確認をしておきます。
1つは、キルヒホッフの電流則です。この法則は、「任意の接点では電流の和は0(ゼロ)になる」という法則です。この法則で注意しなくてはならないのは、電流の向きです。
もう1つは、キルヒホッフの電圧則です。こちらは、「任意の閉回路では電圧変動は0になる」という法則です。これら2つの法則を図示すると、図3のようになります。

図3
伝達関数を導出するために、上記の 2 つの法則を使用するのですが、1つ検討しなくてはならないことがあります。それはインピーダンス表記をどうするかということです。下の図4のように抵抗R、コンデンサC、コイルLをDC電源 V に接続すると、それぞれに挙動は異なります。抵抗Rの両端電圧は時間が経っても変化しません。コンデンサの電圧は徐々に上昇し、ある時間をもって電源の電圧に到達します。 コイルの電圧はすぐに電源の電圧に到達しますが、徐々に降下します。

図4
図4の特性から、コンデンサとコイルも抵抗として考えたとき、抵抗値(インピーダンス)は時間(位相)の関数として考えることができます。このように時間変化する抵抗も含めて、これをインピーダンス表記と言います。入力電圧がステップ応答したときのコンデンサのインピーダンスは時間が経つにつれて大きくなると言えます。コイルはその逆です。電気回路の場合は、時間の逆数として角速度ωを使うので、図5のように書き表すことができます。

図5
最後に、複素数が出てくる理由を記しておきます。電気回路で複素数は位相を表し、応答時間に関係するパラメータです。今回の場合は電源の応答速度を表しています。コンデンサの場合は遅れて電源電圧Vに到達しますが、コイルはその逆になるので、図5のように表記することができます。