電源設計の技術情報サイト

技術資料ダウンロード

2020.02.12 Siパワーデバイス

MOSFETの仕様に関する用語集

Siトランジスタとは

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア

ここまで、MOSFETの特徴や特性に関して説明してきました。MOSFETに限ったことではありませんが、仕様書(データシート)には電気的仕様(スペック/spec)が記載されており、パラメーター名とともに保証値などが示されています。MOSFETにも多くのパラメーターがあり、ここまでの記事ですでに取り上げたパラメーターもありますが、ここで一覧にまとめました。

注意事項があります。パラメーター名や用語、また記号がメーカーにより若干違う場合があります。また、条件設定に関連して定義に関しても多少の差異があります。これらは、仕様書に示されている測定条件などを確認して、具体的な内容を理解することで対処することになります。

●絶対最大定格

パラメーター用語 記号 定義および説明
ドレインーソース間電圧 VDSS ゲート-ソース間を短絡状態にした上で、ドレイン-ソース間に印加できる電圧の最大値。
ドレイン電流(直流) ID 指定条件下において、ドレインーソース間に形成されるチャネルに連続的に流すことが可能な直流電流の最大値。
ドレイン電流(パルス) IDP 安全動作領域で指定されたパルス幅およびデューティ比において、ドレインーソース間に形成されるチャネルにパルス的に流すことが可能な電流の最大値。
ゲートーソース間電圧 VGS ゲート-ソース間に印加できる電圧の最大値。
アバランシェ電流(単発) IAS アバランシェ降伏時に許容されるドレイン電流の最大値。
アバランシェエネルギー(単発) EAS アバランシェ降伏時に許容されるエネルギーの最大値。
許容損失 PD 指定条件下において、MOSFETに許容される電力損失の最大値。
ジャンクション温度 Tj 素子動作時に許容できるジャンクション温度の最大値。
保存温度 Tstg 素子に電気的負荷をかけずに保存または輸送できる温度範囲。

●熱抵抗

パラメーター用語 記号 定義および説明
熱抵抗(ジャンクション・ケース間) RthJC 素子のジャンクションからケース裏面までの熱抵抗値。
熱抵抗(ジャンクション・外気間) RthJA 素子のジャンクションから周囲環境までの熱抵抗値。
実装温度(ウェーブソルダリング) Tsold MOSFETを実装する際のはんだ溶融温度の最大値。

●電気的特性

パラメーター用語 記号 定義および説明
ドレインーソース降伏電圧 V(BR)DSS ゲートーソース間が短絡状態において、寄生ダイオードがブレークダウンを引き起こし、ドレインーソース間に電流が流れ始める電圧。
ドレインーソース降伏電圧温度係数 ⊿V(BR)DSS/⊿Tj ドレインーソース間降伏電圧の温度係数。
ドレイン遮断電流 IDSS 指定条件下において、ゲート-ソース間が短絡状態でドレイン-ソース間に流れる漏れ電流。
ゲート漏れ電流 IGSS 指定条件下において、ドレイン-ソース間が短絡状態でゲート-ソース間に流れる漏れ電流。
ゲートしきい値電圧 VGS(th) MOSFETにドレイン電流が流れ始めるゲート-ソース間電圧。
ゲートしきい値電圧温度係数 ⊿VGS(th)/⊿Tj しきい値電圧の温度係数。
ドレインーソース間オン抵抗 RDS(on) MOSFETがONしている際のドレイン-ソース間の抵抗値。
ゲート抵抗 RG MOSFETの内部ゲート抵抗値。
順伝達アドミタンス |Yfs| ゲート-ソース間電圧の1V変化に対するドレイン電流変化率。
入力容量 Ciss ドレイン-ソース間を交流的に短絡状態にして、ゲートーソース間で測定した寄生容量値。
出力容量 Coss ゲート-ソース間を交流的に短絡状態にして、ドレインーソース間で測定した寄生容量値。
帰還容量 Crss ソース端子を接地し、ドレイン-ゲート間で測定した寄生容量値。
実効容量(エネルギー換算) Co(er) ドレインーソース間電圧VDSが0Vからドレインーソース間電圧の絶対最大定格VDSSの80%まで上昇する間に蓄積されるエネルギーがCossと等価となる固定容量値。
実効容量(時間換算) Co(tr) ドレインーソース間電圧VDSが0Vからドレインーソース間電圧の絶対最大定格VDSSの80%まで上昇するまでの充電時間がCossと等価となる固定容量値。
ターンオン遅延時間 td(on) ゲート-ソース間電圧が設定電圧の10%まで上昇してから、ドレイン-ソース間電圧が設定電圧の90%まで下降するまでの時間。
上昇時間 tr ドレイン-ソース間電圧が設定電圧の90%から10%まで下降するまでに必要な時間。
ターンオフ遅延時間 td(off) ゲート-ソース間電圧が設定電圧の90%まで下降してから、ドレイン-ソース間電圧が設定電圧の10%まで上昇するまでの時間。
下降時間 tf ドレイン-ソース間電圧が設定電圧の10%から90%まで上昇するまでに必要な時間。

●ゲート電荷量特性

パラメーター用語 記号 定義および説明
ゲート総電荷量 Qg MOSFETのゲート電圧を0Vから指定の電圧まで上昇させるために必要なゲート電荷量。
ゲートーソース間電荷量 Qgs MOSFETのゲート電圧を0Vからゲートプラトー電圧まで上昇させるために必要なゲートーソース間容量に蓄積される電荷量。
ゲートードレイン間電荷量 Qgd MOSFETのドレインーソース間の電圧VDSが電源電圧からオン電圧まで下がるために必要なゲートードレイン間容量に蓄積される電荷量。
ゲートプラトー電圧 V(plateau) スイッチング時において、ミラー容量の充放電が始まるゲート電圧値。

●内部ダイオード特性

パラメーター用語 記号 定義および説明
ソース電流(直流) Is 指定条件下において、内部ダイオードに連続的に流すことが可能な直流電流の最大値。
ソース電流(パルス) Isp 内部ダイオードにパルス的に流すことが可能な電流の最大値。
順方向電圧 VSD 内部ダイオードに順方向電流が流れた際の電圧降下分。
逆回復時間 trr 指定の測定条件において、内部ダイオードの逆回復電流が消減するのに要する時間。
逆回復電荷量 Qrr 指定の測定条件において、内部ダイオードの逆回復電流が消減するのに要する電荷量。
逆回復ピーク電流 Irrm 指定の測定条件において、内部ダイオードの逆回復動作時のピーク電流値。

キーポイント:

・パラメーター名や用語、また記号がメーカーにより若干違う場合がある。

・条件設定に関連して定義に関しても多少の差異がある。

・対処としては、仕様書に示されている測定条件などを確認して具体的な内容を理解する。

シリコンパワーデバイスの特徴を活かしたアプリケーション事例