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2021.05.11 Siパワーデバイス

位相シフトフルブリッジ回路の電力変換効率向上 ーまとめー

位相シフトフルブリッジ回路の電力変換効率向上

SJ MOSFETを使用したPSFB回路の効率向上を図るために、動作と電流経路の特徴から重要なポイントをまとめました。

軽負荷時

  • ・ZVS動作の成立が難しいため、ターンON時に損失が発生しやすい。
  • ・このターンON損失を小さくするためにはDead Timeを調整し貫通電流を防ぐ必要がある。
  • ・寄生容量バランスの良いMOSFETを選択することで、貫通電流を防止することが可能。
  • ・また、ゲートしきい値電圧が高いと誤ON防止につながる。

重負荷時

  • ・MOSFETのBody Diodeのtrrが大きいと、進みレグのMOSFETの寄生バイポーラトランジスタが誤ONする恐れがある。
  • ・したがって、Body Diodeのtrrが小さいMOSFETを使用する必要がある。

これらの点から、PSFB回路に使用するSJ MOSFETには、リカバリー特性(trr)が高速であること、MOSFETの寄生容量バランスが最適化されていること、ゲートしきい値電圧が高いことが要求事項となります。

異なる高速リカバリー型SJ MOSFETを使用した効率の比較では、最新世代のPrestoMOS™であるR6020JNX(R60xxJNxシリーズ)が全負荷領域で最も高い効率を示しました。これは、最新世代のPrestoMOS™のリカバリー特性が高速リカバリー型SJ MOSFETの中で業界トップクラスであることに加えて、ゲートしきい値電圧が高いことで貫通電流が流れにくく、かつターンOFF損失を低減できた結果であると言えます。

以下に、本章の各セクションへのリンクとキーポイントを記しました。詳細の確認などにご利用ください。

PSFB回路の基本構成

この記事のキーポイント

・位相シフトフルブリッジ(PSFB)回路は、スイッチング素子がゼロ電圧スイッチング(ZVS)動作をすることにより、スイッチング損失を大幅に低減できるため、より大きな電力を扱うことが可能。

・PSFBのスイッチング回路は基本的に4個のスイッチング素子(MOSFET)からなり、ZVS動作に必要な共振用インダクタとしてトランスの漏れインダクタンスを利用する。

・ZVS動作の範囲拡張のためトランスと直列にインダクタを付加する場合もある。ここでは付加された回路を想定。

・基本のスイッチングは、Q1とQ2がON/OFF状態を入れ替えた後、ある位相遅れをもってQ3とQ4がON/OFF状態を入れ替える。

・一般に、Q1とQ2のレグを「進みレグ」、Q3とQ4のレグを「遅れレグ」と呼ぶ。

PSFB回路の基本動作

この記事のキーポイント

・14種類のモードで示した動作状態と電流経路を理解する。

・動作の違いから電流波形に違いが生じ、進みレグと遅れレグのMOSFETでは損失が異なり、発熱に差異が生じるので熱設計を行う際は注意が必要。

・ZVS動作の成立条件の式から、軽負荷時ではIL1が小さいためZVS動作が成立しにくく、重負荷になるにつれてZVS動作が成立しやすくなることがわかる。

軽負荷時におけるスイッチング素子の動作に関する注意点

この記事のキーポイント

・軽負荷時は電流が小さくLSの蓄積エネルギーが小さくなるため、COSSの充電、放電が完了しないままスイッチ動作に入る可能性が高くなるためZVS動作ができず、MOSFETのターンON損失が発生しやすくなる。

・COSSの充放電の未完了によりVDSが残る可能性があるため、上下アームの短絡による貫通電流を防ぐためにDead Timeを適切に設定する必要がある。

・MOSFETのCGDとCGSの容量比によっては貫通電流が流れる恐れがあるため、この比が適切なMOSFETを選択することが重要である。

重負荷時におけるスイッチング素子の動作に関する注意点

この記事のキーポイント

・重負荷時にtrrが長い場合、進みレグのターンOFF時に寄生バイポーラトランジスタが誤ONして、MOSFETが破壊する可能性がある。

・PSFB回路は、リカバリー中のBody Diodeのバイアスがほぼ0Vなため電荷放出が遅くなり、結果としてtrrが長くなる。

・PSFB回路ではtrrが小さいMOSFETを使用することが重要。

・高速リカバリー型SJ MOSFETであってもメーカーやシリーズによって性能に差異があるので、選択には十分な検討が必要。

効率の評価

この記事のキーポイント

・効率の比較においてはPrestoMOS™が最も優れていた。

・SJ MOSFET採用したPSFB回路の効率向上には、trrが極力小さく、優れたスイッチング特性を持つSJ MOSFETを選択することが重要。

参考文献[1]L.Saro, et al., “High-Voltage MOSFET Behavior I  Soft-Switching Converter: Analysis and Reliability Improvements, ”International Tel-communication Conference, San Francisco, 1998.

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