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2020.11.10 SiCパワーデバイス

まとめ

SiC MOSFET:ブリッジ構成におけるゲート-ソース間電圧の挙動

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ここまで、6回にわたり「SiC MOSFET:ブリッジ構成におけるゲート-ソース間電圧の挙動」と題し、大電流で高速なスイッチング行うブリッジ構成で起き得るゲート電圧の挙動に関して解説してきました。

ブリッジ構成によるMOSFETのゲート電圧は、MOSFET同士がお互いに関連しながら動作するため、非常に複雑です。さらに、ゲート駆動回路の条件によってその挙動は大きく変わってきます。例えば、回路方式や使用するMOSFET、他の部品が同じでも、基板や配線レイアウトが変わるだけでまったく異なった挙動を示すことがあります。むしろ、「挙動は基板・配線によって大きく変わる」と考えるべきで、実績がある回路だからと基板やレイアウトが異なるのに評価を疎かにすると大変なことになります。

ここで示した基本動作や波形の挙動メカニズムを理解することは、実際の設計において問題が発生した場合の対処につながります。今回例に取ったのはLSのMOSFETをスイッチングするboost(昇圧)回路でしたが、HSのMOSFETをスイッチングするbuck(降圧)回路においても、LSとHSの動作が置き換わるだけで同じ動作になります。したがって、ハードスイッチングを用いる様々な回路トポロジーで、基本的な考え方として応用できます。

以下に各記事のリンクとキーポイントをまとめましたので、ご利用ください。

「SiC MOSFET:ブリッジ構成におけるゲート-ソース間電圧の挙動」

はじめに

キーポイント

・パワースイッチングデバイスは、様々な電源アプリケーションや電力ラインのスイッチング素子として使用されている。

・使用される回路方式は多岐にわたり、使用方法も多数ある。

・スイッチング素子を上下に直列接続するブリッジ構成では、素子が交互にオン・オフすることで相互に影響を与える。

・大電力の高速スイッチング変換には、スイッチング動作の深い理解が必要。

SiC MOSFETのブリッジ構成

キーポイント

・「SiC MOSFET:ブリッジ構成におけるゲート-ソース間電圧の挙動」を考察して行くに当たって、MOSFETをブリッジ構成で使用する最も簡単な同期方式boost回路を例とする。

・例示回路の構成、動作、電圧・電流波形を理解する。

SiC MOSFETのゲート駆動回路とターンオン・ターンオフ動作

キーポイント

・ターンオン時とターンオフ時のVDSおよびIDの変化の仕方は異なる。

・この変化によるVGSへの影響の考察には、ゲート駆動回路の寄生成分を含めた等価回路を基に考える。

ブリッジ回路のスイッチングにより発生する電流と電圧

キーポイント

・ゲート駆動回路のスイッチング動作におけるMOSFETのVDSおよびIDの変化によって、寄生容量やインダクタンスにより回路に電流と電圧が発生する。

・dVDS/dtおよびdID/dtは正にも負にもなるため、それによって発生する電流や電圧の極性はターンオンとターンオフ時で異なる。

ローサイドスイッチターンオン時のゲート-ソース間電圧の挙動

キーポイント

・MOSFETのゲート容量と、スイッチングによるVDSおよびIDの変化によって、ブリッジ構成ではLSスイッチがターンオンした際にHSにセルフターンオンが生じる場合がある。

・セルフターンオンの対策として、外付けゲート抵抗の値を小さくする方法があるが、他の動作に影響を与えないようにHSターンオフ時だけゲート抵抗が小さくなるような工夫が必要。

ローサイドスイッチターンオフ時のゲート-ソース間電圧の挙動

キーポイント

・LSスイッチがターンオフした際にも、ターンオン時と基本的に同じ挙動が生じる。

・HSに発生するマイナスサージは定格を超えることがあり、その場合は回路に対策が必要。

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