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2020.08.25 熱設計

熱設計の相互理解

電子機器における半導体部品の熱設計

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前回は、技術トレンドの変化に対して熱設計もそれに追従する必要性を説明しました。今回は、近年の熱設計が機器設計にかかわるすべての技術部門の相互理解がないと成立しないことについて説明したいと思います。具体的な熱設計の解説に入る前に少々前置きが長くなっていますが、近年の熱設計の課題は熱設計の技術的な面だけではなく、熱設計を取り巻く環境や体制にも大きく関連していることを理解した上で取り組んでもらいたいことが理由です。

熱設計の相互理解

製品の開発にはおおざっぱに電子回路設計、実装基板(PCB)設計、メカ設計、ソフトウェア設計が関わります。従来、これらは各々の専任設計者や担当部署が行い、例えば、電子回路設計者は製品仕様を満たす部品を選定して回路を設計する、ソフトウェア設計者はハードウェアを動かすためのソフトウェアを開発する、実装基板設計者は適切な部品配置やレイアウト、基板サイズなどを考慮して基板を設計する、そして、メカ設計者は筐体や構造の設計をする、というように分担されてきました。

このような状況にあるとすれば、今求められている熱設計を考えた場合、各設計者が熱設計を自分の担当設計に盛り込み、それを他の設計と共有し1つのものにして行く仕組みを持たないと、熱設計が最適化された製品を生むのは困難な状況にあると言えます。

例えば、機器のトレンドである小型化、静音化、そしてコストダウンに対応するためファンレス仕様を検討したします。ファンがある分には通常筐体内の冷却に関する担当はメカ設計者だと思いますが、ファンレスになるとどの設計者が冷却の対処をするのでしょうか? この図は、それぞれの設計者が熱設計として行う可能性があることを例示しています。

熱設計における各設計者の分担と関わり

内容を見てすぐに気付くと思いますが、それぞれが自分の範疇で発熱を減らす、もしくは放熱を増やす手立てを行い、それぞれの対策が関係しあってファンレス化を達成することになるのがわかります。これらは相互にコミュニケーションを取らなければ進められないことが多く、相互理解がなければ思惑が結果に結びつかないことになりかねない事柄です。また、逆に自分の範疇だけでは気付かなかったことに気付き、より効果的な解決策が見つかる可能性を広げてくれます。

相互理解により熱設計を最適化することで可能になること

設計品質という言葉があります。端的に言えば、設計通りに試作を行い、問題の発生はなく短期間で量産になり、市場でも問題が起こらないような設計を品質の高い設計と言います。熱設計に限ったことではありませんが、これは誰もが望むことです。それだけに、設計品質を向上させることは重要で、それには今まで述べてきた現代の要求を満たす熱設計と評価基準の確立と熱設計の相互理解に加えて、熱設計に「真剣に取り組む」ということが必須です。

現実的にはマンパワー不足やコスト優先といった問題があるのでしょうが、設計品質を上げることが最終的にはこれらの問題の解決にもつながってきます。設計品質を上げると、以下の図のイメージのように試作回数を減らすことができます。これは大きなコストダウンであり、再作業が減ることでコストだけではなくマンパワーも節約可能です。

設計品質を向上させることでマンパワーとコストダウンが可能になるイメージ

次回から、熱設計と放熱の基本について解説をして行きます。

キーポイント:

・現代の要求を満たす熱設計と評価基準の確立に加えて熱設計の相互理解が熱設計の最適化に必要。

・加えて熱設計に「真剣に取り組む」ということが必須。

・設計品質を向上させることで、マンパワーとコストダウンが可能になる。

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