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コラム

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ブラシ付きモータドライバの消費電力の計算方法
その2

前回に続き、ブラシ付きモータドライバの消費電力の計算です。前回は、ブラシ付きモータの代表的な駆動方法の定電圧駆動について説明したので、今回はもう1つの代表的駆動方法であるPWM駆動の消費電力計算方法を説明します。

ブラシ付きモータドライバの消費電力の計算方法

②PWM駆動時の消費電力計算

最初にPWM駆動時の動作等価回路と、その動作電圧・電流波形を示します。動作等価回路の左は電圧印加時、右は電流回生時の、各MOSFETの状態の例です(動作に影響しないMOSFETは省略してある)。

モータドライバのPWM駆動時の動作等価回路 / モータドライバのPWM駆動動作等価回路の動作電圧・電流波形

PWMの一周期(tpwm)における動作は、出力OUT1では以下の4つの部分に分かれます。

  • ・tr:ローからハイに遷移する時間
  • ・tdr:ハイを維持し電流を供給する時間
  • ・tf:ハイからローに遷移する時間
  • ・trc:ローを維持し電流を回生する時間

これに対して出力OUT2は、常にローの動作になります。

簡単に考えるため、これらの動作で出力がハイからローまたはローからハイに遷移する際の電圧変化は直線で、その間電流は一定で変化なしとします。また、印加時と回生時の電流変化も直線とします(上図各波形参照)。

電圧変化部分の消費エネルギーは、電圧の時間関数と電流の時間関数の積を各時間で積分します。電流変化部分の消費電力は、電流の時間関数の2乗と抵抗の積を各時間で積分すると求めることができます。

tr部分の消費エネルギー:Erは

tf部分の消費エネルギー:Efは

tdr部分の消費エネルギー:Edrは

trc部分の消費エネルギー:Ercは

となります。

出力の消費電力Pc_otは、この4つの部分を合計し全体の時間で割ると求められます。

これに出力電流以外に電源が供給する回路電流Iccと電源電圧Vccの積を加えると、全体の消費電力Pcになります。

trとtfがtpwmに対して十分小さく、電流変化がほとんどなくip1=ip2の場合、電力は以下の式になります。

つまり、駆動時と回生時とで変わる電流経路による発生電力のPWM一周期時間に対する駆動時間と回生時間の比率の合計になります。

PWM駆動は、定電圧駆動のように一定電圧が印加されるのではなくパルスが印加されるので、計算式は少し複雑になりますが、これを例に考え方を理解してもらえればと思います。