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ブラシ付きDCモータを簡単に駆動する方法

ブラシ付きDCモータを簡単に駆動する方法

今回は、ブラシ付きDCモータを駆動する方法を、初歩の初歩的なところから説明します。おそらくほとんどの方が、小学校の理科の実験や工作などで、モータに電池をつないでモータを動かしたことがあるのではないかと思います。また、スイッチを使ってオン・オフする回路を作った、もしくは動作オン・オフ付きの模型や玩具などを使ったことがある方も少なくないと思います。そんなところから話を始めます。

モータに電源を接続すると動作し、接続を切ると停止する

まず、ブラシ付きDCモータを一方向に回転させることと、停止させることのみの動作の場合です。電源とブラシ付きDCモータを接続すれば回転し、接続を外せば空転の後に止まります。ただ、これではさすがにしょうがないので、モータに接続した電源ラインの間に機械式スイッチを入れて手動でオン・オフする回路をイメージしてください。図1の左側にその回路を示します。

ブラシ付きDCモータのスイッチによるオン・オフ回路の例

これを電子回路的にアップグレードするには、スイッチ(SW1)をトランジスタに置き換えることができます。図1の右側がその例で、トランジスタはNch MOSFETです。これで、MOSFET Q1のゲートに電圧を与えMOSFETをオン・オフすることで、同じようにDCブラシ付きモータを回転させたり停止させたりすることができます。

簡単だが注意事項がある

ここで、注意することがあります。どちらの回路もスイッチをオフした瞬間に、モータのコイルが電流を流し続けようとして高電圧(逆起電圧)が発生します。特にトランジスタを使った場合、そのトランジスタに最大定格を超えるような電圧が印加されることになると、トランジスタには劣化や破壊が生じます。したがって、この電圧を抑制しなければなりません。そのためには、回路図にあるようにモータと並列にダイオードを接続する必要があります。これで、少しは電子回路らしくなった感じです。

スイッチの挿入は(+)側でも(-)側でも構わない

このように、スイッチを1つ使うことで最初のお題である、「モータを一方向に回転させることと停止させること」のみの動作をさせることができます。この場合、スイッチは電源の(+)側でも(-)でも構いません。それぞれの例を図2に示します。MOSFETを使う例では、トランジスタの駆動(オン・オフ)がしやすいように、(+)側にPch MOSFET、(-)側にNch MOSFETを使う例を示してあります。

ブラシ付きDCモータを駆動する1スイッチ回路の例

先に説明したように、電源のどちらの側にスイッチを入れたとしても、オフ直後にモータのインダクタンス(コイル)が電流を流し続けようとして、(-)側スイッチではモータの(-)端子側が(-)側電圧以下(一般にGND電位以下)に、(+)側スイッチではモータの(+)端子側が(+)側電圧(電源電圧)以上に電圧が振れます。つまり、オフ時に発生する電圧は電源電圧値以上になります。このため回路図が示すように、どちらの場合もダイオードをモータと並列に接続し、ダイオード順方向電圧で発生する逆起電圧を抑制(クランプ)する必要があります。

この回路構成は、トランジスタが1個で済み単純かつ簡単ですが、一方向に回転させることしかできないこと、オフにした際には空転を経て停止するので停止までに時間がかかること、逆起電圧のクランプ用にダイオードが必要になるという課題があります。

これに対して、回転方向を選択可能で、停止の際にはブレーキをかけられるなどの機能を提供できるHブリッジによる駆動方法があります。また、回転数の制御が可能なPWMによる駆動方法もあります(1スイッチ駆動でもHブリッジ駆動でも使用可能)。これらについては、Tech Web Motorの「基礎知識」に説明がありますので、そちらを参考にしてください。