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コラム

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PWM駆動によるモータの定電流動作

モータの代表的駆動方法として電圧駆動、電流駆動、PWM駆動があります。今回は、PWM駆動での定電流動作を取り上げました。

PWM駆動によるモータの定電流動作とは

モータを一定の電流で駆動すると、どういった動作になるのでしょうか? 定電流での駆動では、一定のトルクでモータを回すことができます。モータのトルクは、トルク定数にモータ電流をかけた値になります。つまり、モータトルクは電流に比例するので、電流が一定ならトルクも一定になります。

まず、PWM駆動により定電流動作を行う回路例を図1に示します。4個のスイッチ、例ではMOSFETを使うHブリッジを出力段としたモータドライバの回路です。Hブリッジについては、Tech Web Motorの基礎知識で詳しい説明をしているので、こちらを参照してください。

また、PWM駆動は、基本的にはパルスのオンオフによって必要とされる電力を送る方法です。パルスの大きさ(電圧)と周期は一定で、オン時のパルス幅(時間)を調整して送る電力を制御します。詳細は同じくTech Web Motorの基礎知識のこちらを参照してください。

モータPWM駆動による定電流動作回路例

さて、ここからは示した回路が実際にどうのように動作するのかを説明していきます。

図1で正転を前提にします。その場合、MOSFET Q1とQ2のペアにおいてQ1がオン、Q2がオフで、OUT1は電源電圧Eaに接続しモータの正極に電流を流します。同時にQ3とQ4のペアはQ3がオフ、Q4がオンでOUT2はドライバのRNF端子のRsを介してGNDに繋がります。これで、電源からモータに電流が流れる通電状態になります。

ここでは定電流動作を目的にしていますので、電流を一定に制御する必要があり、それはRsとコンパレータが行います。Rsは電流検出抵抗です。Rs×モータ電流で生じる電圧を、コンパレータにより基準電圧端子Vrefに印加する基準電圧と比較します。基準電圧は所望の定電流値×Rsに設定します。

通電によりモータの電流は徐々に増加しRsの検出電圧がVrefを超えると、コンパレータがQ1をオフにして(ペアのQ2はオフのままでもオンにしてもかまわない)モータへの通電を停止します。

通電が止まるとモータの電流は電流を流し続けようとしますが、ゆるやかに減少していきます。そして、一定時間後に再びQ1をオンしモータに通電すると、またモータの電流は増加し始め、Rsの検出電圧がVrefを超えると再度Q1オフにして通電を停止するというサイクルを繰り返します。図1のドライバではOSC(発振器)の周波数をカウントして、任意のオフ時間(toff)を設定しています。この動作波形を図2に示します。

モータPWM駆動による定電流動作波形

この繰り返し動作によって、VrefをRsで割った値の電流値を頂点とする三角波の電流が流れます。Q1のオフ時間(toff)を間を十分小さく設定すると、ほぼ一定の電流を流す動作、つまり定電流動作が可能になります。

以上がPWM駆動によるモータの定電流動作の説明となりますが、実際の駆動にはもう少し細かい制御が必要になります。例えば、通電を停止して回生電流が流れている間はRsに電流が流れないため、通電再開時にはRsでの電流変化が大きくなります。どうしても寄生インダクタンスが存在するため、この電流のオンオフによりRNF端子には波形にあるような大きい電圧ノイズが発生したり(図2に例示)、MOSFETの持つ寄生容量を充電する電流が流れVref電圧を超えたりする場合があります。これらの電圧ノイズによる誤オフ動作をしないように、短時間のピーク電流は無視し反応しない時間(tblnk)を設けたり、フィルタによりノイズを除去したりなどの対処が必要になります。