コラム
ブラシ付きDCモータのトルク負荷、回転数、モータ電流の関係
今回は、ブラシ付きDCモータを例に取り、トルク負荷、回転数、モータ電流の関係を整理してみたいと思います。
トルク負荷、回転数、モータ電流の関係
ブラシ付きDCモータのトルク負荷、回転数、モータ電流の関係は、トルク負荷がゼロのときモータは最大回転数で回転し、トルク負荷をかけるとその大きさに比例して回転数は下がります。モータ電流はトルク負荷がゼロのとき最小で、トルク負荷に比例して大きくなり、回転数がゼロのときに最大になります。
ブラシ付きDCモータに電源を接続した場合の等価回路を基に、各関係を式で表してみます。
Ea:電源電圧
Ia:モータ電流
R:モータの等価抵抗
L:モータの等価インダクタンス
Ec:モータの発電電圧
この等価回路におけるDCの関係は、
Ea=Ia×R+Ec ……(1)
になります。また、モータの発電電圧Ecは回転数に比例するため、
Ec=Ke×N ……(2) ※N:回転数 [rpm]、Ke:発電定数 [V/rpm]
と表すことができます。さらに、モータトルクT [N・m]はモータ電流に比例するため、
T=Kt×Ia ……(3) ※Kt:トルク定数 [N・m/A]
と表すことができます。
式(1)~(3)で代入整理し、回転数NとトルクTの関係を導き出すと、
N=Ea/Ke-R/(Kt×Ke)×T ……(4)
になります。
式(4)のトルクTに対する回転数Nの関係(T-N特性)と、式(3)のトルクTに対する電流Iの関係(T-I特性)をグラフ化すると以下のようになります。
モータへの負荷トルクがゼロのとき回転数は最大になり、負荷トルクを大きくしていくと回転数が負荷トルクに比例して下がり、ある負荷トルクで回転数はゼロになります。このポイントのトルクが最大負荷トルクになります。
モータ電流は負荷トルクに比例して大きくなり、回転数がゼロになった点で最大になります。
実際のモータでは、無負荷状態でもモータ自体の摩擦などにより若干の負荷トルクが加わっているため、最大回転数でも電流はゼロにならず実線の枠内のようになります。もし、理想状態で負荷トルクがゼロになるならば、点線枠までの特性になります。
電源電圧を上げると、T-N特性は右上へ平行移動し、最大回転数と最大負荷トルクが増大します。T-I特性に関しては最大電流値が増大します。