2018.07.31
・トルクがかかると回転数が一定に低下する。
・電源電圧を上げると回転数は上昇する。
・トルクがかかるとモータ電流は一定に増加する。
・最大トルク時=回転数ゼロ時=モータ電流最大。
前回までは、ブラシ付きDCモータの原理に関する説明をしてきました。今回は、ブラシ付きDCモータの基本特性について説明します。
単純な話をすれば、モータは電源電圧を印加すると電流が流れ回転しますが、電源電圧、回転数、トルクといった特性はそれぞれに関係があります。ブラシ付きモータの等価回路と式を使って説明します。
●閉回路のDC関係式:
*Ea:電源電圧、R:電機子抵抗、Ia:モータ電流、
Ec:モータ誘起電圧
電源電圧Eaは、電機子抵抗Rとモータ電流Iaをかけた値に、誘起電圧Ecを加えた値になります。電機子抵抗は巻線や鉄心の抵抗成分です。抵抗×電流が電圧になるのはオームの法則そのものです。誘起電圧はモータが回転することで生じる電圧(発電)で、追加の電圧となります。
●モータ誘起電圧:
*Ec:モータ誘起電圧、Ke:発電係数、N:回転数
モータの誘起電圧Ecは、発電定数Keに回転数Nをかけた値になります。したがって、モータの誘起電圧は回転数に比例します。
●モータトルク:
*T:トルク、Kt:トルク定数、Ia:モータ電流
モータのトルクTは、トルク定数Ktにモータ電流Iaをかけた値になります。したがって、モータトルクは電流に比例します。
●回転数とトルクの関係:
前に述べたモータの誘起電圧とトルクの式をまとめ、回転数NとトルクTの関係を表します。KeとKtは定数なので、1) トルクTがかかると回転数Nは一定値で低下する、2) トルクTが一定の場合電源電圧Eaに比例して回転数Nが上昇する、ことが式からわかります。
上記の関係を右図にまとめました。トルク-回転数(T-N)特性は、トルクがかかると回転数が一定に低下、つまり反比例します。また、電源電圧を上げるとモータにかかる電圧が大きくなるため回転数は上昇します。回転数ゼロの時が最大トルクとなります。
トルク-電流(T-I)特性は、トルクがかかるとモータ電流は一定に増加、つまり比例します。最大トルク時=回転数ゼロ時にモータ電流は最大になります。
モータを駆動する場合、この関係を基に駆動条件を考えることになります。
先の説明でいくつかモータパラメータが出てきたので、それらの単位系について一般的なものを示します。
回転数N: min-1、rpm、rad/s
トルクT: N・m
発電係数Ke: V・s/rad、V/rpm
トルク定数Kt: N・m/A
複数の単位系をもつパラメータがありますが、電気エネルギーを機械エネルギーに変換する場合の単位系としては、太字で示したN・m、rad/s、V・s/radで統一する必要があります。
ブラシ付きDCモータのPWM駆動回路、1スイッチ駆動回路、ハーフブリッジ駆動回路の説明です。