2018.12.11
・PWM駆動対応Hブリッジブラシ付きDCモータドライバICにはいくつかのタイプがある。
-IN1/IN2に直接PWM信号を入力できるタイプ。
-Vref端子、三角波発生器、コンパレータによるPWM信号生成回路を備えたタイプ。
ブラシ付きDCモータのPWM駆動に関して、具体的な駆動方法について説明をしていきます。
Hブリッジ回路を使用してPWM駆動をする場合の代表的な2つの例を紹介します。
①2つの入力端子の一方にPWM信号を入力し直接駆動する
Hブリッジ回路によるモータ駆動では、2つのロジック入力によって4状態(停止、正転、逆転、ブレーキ)を切り替えることは、「Hブリッジ回路によるブラシ付DCモータの駆動:出力状態の切り替え」で説明しました。1つ目のPWM駆動方法は、この2つの入力端子の一方にPWM信号を入力します。
このブロック図はあるブラシ付きDCモータドライバICのものです。IN1とIN2のロジックでHブリッジを切り替えます。
2つある真理値表の左側は標準的な切り替えのロジックです。このうち、正転(H/L)と逆転(L/H)のH入力をPWM入力とします。それを示したのが右側の真理値表です。これで、停止(OPEN)、正転PWM駆動、逆転PWM駆動、ブレーキになります。この制御には、マイコンなどからIN1/IN2にロジック信号およびPWM信号を送る必要があります。もちろん、ドライバICはこの駆動方法に対応している必要があります。
この方法では、PWM入力信号のデューティ比と電源電圧VMの積が等価的な平均印加電圧になります。
②Vref PWM制御機能を搭載したモータドライバ
モータドライバICには、PWM機能を搭載したタイプがあります。この例は、内部に三角波発生器とコンパレータを搭載し、出力のPWM駆動およびPWMのデューティ比調整が可能なタイプです。
ブロック図と波形図はその仕組みを示しています。コンパレータは三角波発生器の三角波と外部からの基準電圧Vrefを比較した結果を出力します。コンパレータの出力デューティ比はVrefによって決まり、Vrefが三角波の最小振幅0V時はデューティ比0%、三角波の最大振幅Vph時には100%になります。このコンパレータ出力(PWM信号)はIN1/IN2のロジックと組み合わされHブリッジを経てOUT1/OUT2に出力されます。
①、②ともに、原理的には説明どおりでHブリッジによるPWM駆動が可能ですが、内蔵している同時オン防止回路の関係や、②においてはPWM信号生成にアナログ回路を用いていることなどから、理論どおりにならずに直線性や誤差など若干の調整が必要になる場合があります。
ブラシ付きDCモータのPWM駆動回路、1スイッチ駆動回路、ハーフブリッジ駆動回路の説明です。