2017.12.26
この章では、実動作において選択したトランジスタが適切であるか否かの判断のための方法と手順を説明してきました。今回は最後にまとめを行います。
右のフローチャートおよび下の箇条書きに従って、選択したトランジスタが実動作条件において適切な選択であったか、そして十分な信頼性と安全が確保された条件での動作であるか否かを確認してきました。
①実際の電流/電圧波形の測定
②絶対最大定格内であることの確認
③SOA(安全動作領域)内であることの確認
④使用雰囲気温度でディレーティングした
SOA内であることの確認
⑤連続パルス(スイッチング動作)
⑥平均消費電力が定格電力内であることの確認
⑦チップ温度の確認
以下に、それぞれの項目で示したキーポイントをまとめました。
・基本的に試作において、選択したトランジスタが実動作において使用可能であるか否かの確認が必要。
・確認のために、トランジスタが扱う電圧と電流のデータを測定する。
・絶対最大定格の定義と意図を正しく理解して、使用可否の判断を行う。
・SOA(Safe Operating Area:安全動作領域)は、トランジスタが安全な条件下で動作しているかを確認するための情報。
・基本的に、IDとVDSSとの関係において、定格電圧および電流、許容電力(発熱)に対して安全な領域がグラフで示されている。
・SOAの条件をよく確認して、実際の使用条件との違いを考慮した上で利用する。
・SOAグラフはTa=25℃のデータなので、実際にトランジスタを使用する温度に合わせてSOAをディレーティングする必要がある。
・ディレーティングのレートは、許容損失のディレーティングレートを利用する。
⑤連続パルス(スイッチング動作)
・連続パルス(スイッチング動作)の場合は、平均消費電力を求め、許容損失が定格内であること確認する。
・最終的にはTjが絶対最大定格を超えていないかどうかが判断の大元になる。
・最終的にTjが絶対最大定格を超えてないか確認する。
・TaもしくはTcと発熱(熱抵抗×消費電力)の合算がTjになる。
「実動作におけるトランジスタの適性確認」はこれで最後になります。各確認項目の実施はけっこう手間がかかる作業ですが、回路設計においては避けて通ることができないプロセスであることを理解してください。
ローム主催セミナーの講義資料やDCDCコンバータのセレクションガイドなど、ダウンロード資料をご用意いたしました。
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