SiCパワーデバイス|応用編

プローブヘッド部の設置場所

2022.06.14

この記事のポイント

・測定箇所に加えてプローブヘッドの設置位置も重要。

・磁束変化の速い空間に電圧プローブを無造作に設置すると、磁束変化の影響を受け測定波形に重畳してしまう。

SiC MOSFETゲート-ソース間電圧測定:プローブヘッド部の設置場所

先に説明した測定箇所の他に、もう1つ注意しなければならないことがあります。それは、電圧プローブのヘッド部の設置場所です。

一般的にパワースイッチングデバイスが使用される環境は、数十~数百アンペアの電流が高速でスイッチングされているために、その電流変化di/dtによって発生する磁束変化dΦ/dtも非常に大きくなっています。また、電圧変化dv/dtも非常に大きく電圧が非常に高いため、電圧変化時に流れる電流変化も決して小さくありません。

このような磁束変化の速い空間に電圧プローブを無造作に設置すると、そのプローブのヘッド部が磁束変化の影響を受け、測定波形に重畳してしまうことがあります。以下の4つの設置方法でスイッチング波形の比較をします。

(a) 主回路ループの内側
(b) 主回路ループの外側で直近
(c) より線12cmで離した主回路ループの外側
(d) より線12cm+100Ωで離した主回路ループの外側

図11は(a)~(d)のプローブヘッド部の設置場所の違いと、主回路ループの電流経路を矢印で示しています。

プローブヘッド部の設置場所と主回路ループの電流経路
図11. プローブヘッド部の設置場所と主回路ループの電流経路

(a)はプローブヘッドを主回路ループの内側に設置しdΦ/dtが最も大きい場所、(b)は主回路ループの外側に設置していますが、直近の場所のため比較的dΦ/dtが大きい場所、(c)と(d)は延長ケーブルで主回路ループから遠ざけdΦ/dtの影響を極力取り除いた場所に設置しています。違いは(d)には100Ωのダンピング抵抗が入っていることです。

図12は、上記の4つの設置方法で観測したゲート-ソース間電圧波形です。

プローブヘッドの設置場所による測定波形の違い
図12. プローブヘッドの設置場所による測定波形の違い

LSに注目すると、磁束変化の最も大きい(a)で、スイッチング動作と同じタイミングでサージが発生しており、輻射ノイズの影響を大きく受けていることが分かります。また、(c)は延長ケーブルのインダクタンスの影響により(b)よりも大きく変動しています。結果として、延長ケーブルにリンギングを抑えるダンピング抵抗100Ωを挿入した(d)が最も変動が少なくなっています。

この測定ではHSをスイッチングしているため、LSのゲート電圧は常にオフ状態(0V)となっています。そのためゲート端子への駆動電流はまったく流れておらず、磁束変化の影響を受けやすいと考えられます。一方HSは、スイッチング動作時にSiC MOSFETのゲート端子に駆動のための充電電流が流れているので影響を受けにくく、LSほど波形が乱れていないと考えられます。

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