ACDC コンバータ|設計編

SiC-MOSFETを使った絶縁型擬似共振コンバータの設計事例 ーまとめー

2019.04.16

ここまで19回にわたり説明してきた「SiC-MOSFETを使った絶縁型擬似共振コンバータの設計事例」は、今回のまとめをもって最後になります。

この設計事例には2つの大きなポイントがあります。1つは、パワースイッチにSiC-MOSFETを使用していることです。SiC-MOSFETはSi-MOSFETに比べ、低損失で高温下での動作特性に優れています。もう1つは、スイッチングトポロジーに擬似共振方式を選んだことです。擬似共振方式は、ノイズが少なく高効率であることが特長です。これらの組み合わせにより、高電圧を扱いながら高効率で低ノイズのAC/DCコンバータを設計できます。近年の主要課題である省エネに対して、SiCパワーデバイスの貢献が確認できる事例だと思います。

今回使用した電源ICは擬似共振コントローラでSiC-MOSFETは外付けになりますが、ロームではSiC-MOSFETを内蔵したコンバータICを開発中です。Si-MOSFETを内蔵したコンバータICは多々ありますが、SiC-MOSFET内蔵タイプは世界初になります。

それでは、全項目とキーポイントの一覧です。

<SiC-MOSFETを使った絶縁型擬似共振コンバータの設計事例>

SiC-MOSFETを使った絶縁型擬似共振コンバータの設計事例 ーはじめにー

この記事のキーポイント

・擬似共振方式の絶縁型AC/DCコンバータの設計事例。

・パワースイッチにはSiC-MOSFETを利用する。

設計に使う電源IC:SiC-MOSFET用に最適化

この記事のキーポイント

・電源用ICを使った設計でSiC-MOSFETを使うには専用の電源用ICが必要。

・SiC-MOSFETとSi-MOSFETのゲートドライブ電圧VGSは異なる。

・設計にはSiC-MOSFET駆動用AC/DCコンバータ制御ICであるBD7682FJ-LBを使う。

設計事例回路

この記事のキーポイント

・擬似共振方式は、トランス一次巻線のインダクタと共振コンデンサの電圧共振を利用した自励式のフライバックコンバータ。

・擬似共振方式によりスイッチング損失やノイズを低減することができる。

トランスT1の設計 その1

この記事のキーポイント

・トランスT1のコアサイズ、一次側インダクタンス、各巻数を手順に則り計算する。

・設計編第一弾の「絶縁型フライバックコンバータ回路設計」とほぼ同じ考え方で算出できる。

トランスT1の設計 その2

この記事のキーポイント

・トランスT1のコアサイズ、一次側インダクタンス、各巻数を手順に則り計算する。

・設計編第一弾の「絶縁型フライバックコンバータ回路設計」とほぼ同じ考え方で算出できる。

主要部品選定:MOSFET Q1

この記事のキーポイント

・MOSFET Q1は、この設計のテーマの1つであるSiC-MOSFETを使う。

・MOSFETの選定には、最大Vds、ピーク電流、オン抵抗による損失、パッケージの最大許容損失などを考慮する。

・IDの定格はIppk×2程度を目安に選定する。

・Vdsは式に則って算出する。

主要部品選定:入力コンデンサおよびバランス抵抗

この記事のキーポイント

・入力コンデンサは必要な耐圧を得るために直列接続を利用する。

・コンデンサを直列接続した場合にかかる電圧を均一にするためバランス抵抗を挿入する。

・バランス抵抗は単純にIR損失となるので、抵抗値に注意する。

主要部品選定:過負荷保護ポイントの切り替え設定抵抗

この記事のキーポイント

・過負荷保護補正機能はこのICの機能で、入力電圧が設定値以上になると電流制限レベルを下げることにより損失電力を低減して、過負荷時の保護をより確実にするもの。

・切り替え電圧は提示した式に則り計算したR20の抵抗値によって設定する。

主要部品選定:電源ICのVCC関連部品

この記事のキーポイント

・ICの電源VCCは、二次側出力を利用したVCC巻線で生成する。

・起動時には二次側出力は発生していないので、別途、起動用電圧供給用の回路を設ける。

・VCC OVPの誤動作を避けるため、VCC巻線のサージ電圧を制限する抵抗が必要。

主要部品選定:電源ICのBO(ブラウンアウト)ピン関連部品

この記事のキーポイント

・ブラウンアウト機能は、VINが正常動作に必要な電圧より低い場合に、スイッチング動作を停止する保護機能。

・VINを抵抗分圧した電圧をBOピンに与え、動作開始および停止電圧を設定する。

・定数計算は数式に則る。

主要部品選定:スナバ回路関連部品

この記事のキーポイント

・入力におけるトランスのリーケージインダクタに起因するサージを抑制するためにスナバ回路を組み込む。

・スナバ回路はRCDの構成が基本だが、より高い保護のためにTVSダイオードを追加することができる。

主要部品選定:MOSFETゲートドライブ調整回路

この記事のキーポイント

・ゲートドライブ信号を調整して、スイッチングトランジスタの損失とノイズを最適化する。

・スイッチングの立ち上がり/立ち下がり時間を速くすると損失は減るが、スイッチングノイズが大きくなる。

主要部品選定:出力整流ダイオード

この記事のキーポイント

・出力整流ダイオードには、ファストリカバリダイオードやショットキーバリアダイオードを使用する。

・電圧は70%、電流は50%程度となる仕様のものを選択する。

主要部品選定:出力コンデンサ、出力設定および制御部品

この記事のキーポイント

・出力コンデンサは、出力負荷で許容可能なPeak-to-Peakのリップル電圧(ΔVpp)とリップル電流から決まる。

・出力電圧設定抵抗はデータシートに記載の式から算出できる。

・帰還信号調整部品は、データシートに記載の定数に従う。

主要部品選定:電流検出抵抗および各検出用端子関連部品

この記事のキーポイント

・各検出用端子に必要な部品はデータシートや設計マニュアルに従って設定する。

・検出用端子にノイズが入ると誤動作などの原因なるので、コンデンサやRCフィルタの付加を検討する。

主要部品選定:EMIおよび出力ノイズ対策部品

この記事のキーポイント

・EMI対策として、入力フィルタ、Y-Cap、出力整流ダイオードのスナバを追加する。

・出力ノイズ対策としては出力にLCフィルタを追加する。

・いずれもノイズの影響を確認し部品定数を調整する必要がある。

基板レイアウト例

この記事のキーポイント

・基板レイアウトの原則は、SiC MOSFETを使っても、また、擬似共振コンバータでも基本は同じ。

事例回路と部品リスト

この記事のキーポイント

・例示した回路を使って効率を測定し検討する。

・回路部品は一例であり他にも選択肢はある。

評価結果:効率とスイッチング波形

この記事のキーポイント

・例示した回路を使って効率を測定し検討する。

・回路部品は一例であり他にも選択肢はある。

以上。

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