2015.08.04
・出力コンデンサの選定では定格電圧、リップル定格電流、ESRが重要な要素になる。
・平滑化、安定化はもちろん、出力リップル電圧にも密接に関係する。
インダクタの選定に続いて、コンデンサの選定に関する話に入ります。降圧型DC/DCコンバータに必須のコンデンサとして、出力コンデンサと入力コンデンサがあります。最初に出力コンデンサから説明します。インダクタの選定同様にコンデンサの選定も重要です。選定方法や推奨する種類などは、基本的にデータシートや関連のサポート資料に示されているので、合わせて確認してみてください。
最初に、入力コンデンサと出力コンデンサの役割を理解するため、降圧型DC/DCコンバータの電流の流れを復習します。各コンデンサに流れる電流の性質の違いを理解することで、どんなコンデンサを選ぶべきかが見えてきます。
「降圧型DC/DCコンバータの基本回路・電流の流れ・動作原理」でも同じ図を使いましたが、囲みの中の上のICOが出力コンデンサ、下のICINが入力コンデンサの電流波形です。入力コンデンサは、VINから充電され、トランジスタQ1がオンになるとスイッチ電流IDDとなる電流を放電します。比較的大きな電流が急激に繰り返し流れます。出力コンデンサは、出力電圧を中心に出力リップル電圧と連動した充放電を繰り返します。
ここからは、出力コンデンサの話になります。出力コンデンサの選定における重要な要素は以下の3つになります。
1)定格電圧
2)リップル定格電流
3)ESR(等価直列抵抗)
当然ではありますが、コンデンサに印加される電圧およびリップル電流は、コンデンサの最大定格以下にする必要があります。また、ESR はインダクタ電流に関連して出力リップル電圧を決定する重要な要素なので、十分な検討が必要です。
出力コンデンサのリップル電流は、上図のICO が示すように三角波で、その実効値は次式で表すことができます。
出力リップル電圧は、上図のインダクタ電流ILのリップル分ΔILと、出力コンデンサの静電容量、ESR、ESL により発生した電圧の合成波形で、次式で表されます。
これを波形で示すとこの様なイメージになります。
スイッチングにより発生するインダクタ電流のリップルΔILは、ESRに単純に比例したリップル電圧を発生させ、ESLによっては方形波的な電圧が発生し、それに静電容量分が合成され、一番下の波形が最終的な出力リップル電圧波形となります。
出力リップル電圧を表す式として以下が用いられます。コンデンサによるリップル電圧とESRによるリップルは、位相がずれているため単純な足し算にはなりませんが、リップル電圧のワースト値の概算によく用いられる式です。
この式から出力リップル電圧を小さくするには、ESRを下げ、出力コンデンサの容量を増やし、スイッチング周波数を高くし、ILは必要最低限にする、ということがわかります。
近年、出力コンデンサに積層セラミックコンデンサを使うケースが増えていると思います。セラミックコンデンサはESRとESLが非常に小さいので、観察されるリップル電圧はほとんどコンデンサの静電容量に起因したものになります。
スイッチングレギュレータの採用検討や、設計した電源回路確認に必要なスイッチングレギュレータの特性を理解し評価する方法が示されています。
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