2018.05.15
・損失を求めたのは熱設計を行うため。
・Tjが絶対最大定格を超えないように放熱対策をとる。
今回は、前回の「パッケージ選定時の熱計算例 1」に続く「熱計算例 2」として、使いたいパッケージを使うための対応策を検討します。
最初に確認のため、前回の損失の計算および計算結果、そして、その条件での熱計算結果を示します。
実装基板、熱抵抗、許容損失(PD)、Tjmax
条件①での熱計算結果
Tj=Ta+θja×P ⇒ 85℃+189.4℃/W×1.008W=275.9℃ →Tjmax=150℃を超えてNG
ここまでが前回のサマリで、実際は検討するまでもなく、Tjmax=150℃に対して275.9℃とまったくのNGでした。
今回は、この結果を踏まえて、上記のもう一方の基板条件②において計算を行います。
基板②:4層基板(2,3層銅箔、裏面銅箔 74.2mm×74.2mm)
条件②:θja=40.3℃/W
Tj=Ta+θja×P ⇒ 85℃+40.3℃/W×1.008W=125.6℃ →Tjmax=150℃以下でok
条件②では、4層基板の放熱効果により熱抵抗が189.4℃/Wから40.3℃/Wと1/5近くにまで減少したため、Ta=85℃でも、Tjmaxに約24℃のマージンをもった条件になりました。これは、上にある許容損失グラフの赤で示した1.008WのラインとTa=85℃のラインの交点が、条件②の許容損失曲線の内側にあることでも確認できます。
これで、使用したかったHTSOP-8が使えることになりますが、基板は4層基板を使うことになるという判断ができました。
少し極端な例でしたが、このような計算と経験によって、おおよその必要条件はすぐに見当がつくようになります。ただし、結論を出すには、きちんと損失電力を算出して熱計算をすることを疎かにしないでください。
スイッチングレギュレータの採用検討や、設計した電源回路確認に必要なスイッチングレギュレータの特性を理解し評価する方法が示されています。
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