DCDCコンバータ|用語集

24V→12Vに電圧を変換する? DC/DCコンバーターの仕組みを知ろう

2022.02.09

大型トラックで電圧24Vが使用されており、そこに普通自動車で使用できる12Vのカーナビやオーディオなどの車載機を使用したくても、電圧が異なるため使用できません。車載機に合った電圧を使用できる電源が必要です。しかし、このような場合、24Vから12Vに変圧するDC/DCコンバーターがあれば、車載機を利用できます。

DC/DCコンバーターは、異なる電圧を変換する装置のことです。本記事では、このDC/DCコンバーターの仕組みや電圧を変換する際の動作原理について解説していきます。

電源ICの種類

PCやゲーム機、自動車など、電気製品が動くためには、電源が必要です。一般家庭だとAC(交流)100V電源が使用できますが、全ての電気製品がAC100Vをそのまま使って動作しているわけではありません。電気製品の中では、多くの電気回路や集積回路が使われており、それぞれに適切な電力量を振り分けて電力を使っています。

たとえばノートPCでは、ディスプレイやマウス、キーボードなど直接見えるものから、CPUやメモリなど内部で動いている部品まで、すべてACアダプターまたはバッテリーから供給される電源で動いています。実際は、これら内部で動作する装置すべてに適切な電源を供給するため、コンセントから供給されるAC100Vを、各電子部品に適した電力量に振り分けているのです。

このように、電源から供給される電力を適切な電圧に調整する電子部品を「電源IC」といいます。電源ICには以下のような種類があります。

  • ・安定した電圧・電力を供給する「リニアレギュレータ」「DC/DCコンバーター」
  • ・適切に電源容量が供給されているか監視する「リセットIC」
  • ・電源供給のON/OFFを切り替える「スイッチIC」

電気製品に組み込まれている電子回路には、このような電源ICが多数組まれており、各装置に適切な電圧を供給し動作する仕組みになっています。

DC/DCコンバーターとは

安定した電圧・電力を供給するDC/DCコンバーターは、具体的にどのような装置なのか、解説します。

DC/DCコンバーターはさまざまな電圧に変換する装置

DC/DCコンバーターとは、DC(直流)をDC(直流)へ変換する装置ですが、より具体的には電圧を変換する装置です。冒頭にもあったように、トラックで供給される電源が24Vの場合に、12Vの電圧に変換する装置です。

DC/DCコンバーターは、電圧を下げるだけでなく、元の電圧からさまざまな電圧に変換できます。元の電圧より低い電圧を作る装置を『降圧コンバーター』、元の電圧より高い電圧を作る装置を『昇圧コンバーター』と言います。他にも、マイナス(負)電圧を作る「負電圧コンバーター」や「反転コンバーター」など、さまざまなタイプのコンバーターが存在します。

DC/DCコンバーターはなぜ必要か

電気製品の中で動作する集積回路(IC)などの電子回路は、動作可能な電圧範囲や精度がそれぞれ異なります。そのため、適切な電源を供給しないと誤動作や故障、トラブルの原因となります。

家庭用で扱える電源はAC(交流)100Vであり、電気製品はDC(直流)でそれぞれ電圧が異なるため、多くの電気製品を扱うために電圧を変換する装置は必須です。他にも、ACアダプターからの電源供給以外にバッテリーで使用できる電気製品では、ACアダプターから供給される場合とバッテリーから供給される場合で電圧も異なります。そのため、どちらの電源からでも安定して電力を供給するための仕組みが必要です。

たとえば、家庭で使用している冷蔵庫やレンジ、掃除機などはコンセントから使用していますが、すべて要求される電圧は異なります。そのため、冷蔵庫やレンジ、掃除機の内部で、AC/DCコンバーターやDC/DCコンバーターが組み込まれているのです。

このような背景から、ACからDCへ電気を変換するAC/DCコンバーター、それぞれ必要な電圧に変換するDC/DCコンバーターは、電気製品を動作するために重要な装置と言えます。

なお、ヒーターなど熱を伴う電気製品によっては、AC100Vをそのまま使用して動作するものもあります。その場合は、AC/DCコンバーターによって変換後、必要電圧が100Vであれば、DC/DCコンバーターが組み込まれない場合もあります。

DC/DCコンバーターの種類

DC/DCコンバーターには、電圧を変換する方式の違いにより2つの種類があります。それは「リニアレギュレータ」と「スイッチングレギュレータ」です。それぞれの特長について解説します。

リニアレギュレータ

リニアレギュレータは、入力端子(VIN)と出力端子(VO)、GND(接地)の3端子で構成されており、三端子レギュレーターとも呼ばれます。

リニアレギュレータの構成は、入力と出力の間に制御素子および制御回路を直列に接続したものであり、シンプルで回路が簡単なのが特長です。制御回路は出力電圧を監視し、入力された電圧が出力される際に、設定された一定の電圧になるように制御素子で抵抗値を調整します。これにより、入力電圧よりも低い電圧を作り出します。

リニアレギュレータは抵抗値を調整して電圧を変化する仕組み上、低い電圧しか作れません。また、入力から供給され下げられた電力は、熱となって消費されます。

仮に入力電圧が24V、負荷電流が1A、入力電力が24Wのとき、リニアレギュレータで出力電圧12Vの電圧を作り出すとします。12Vの電圧が出力されますが、入力と出力の電力は同じであるため、12Wの電力はIC内部で熱として放出されます。

そのため、リニアレギュレータは変換効率が約30〜50%程度、高くてもせいぜい70%と効率が悪いというデメリットがあります。

また、入力と出力の降圧比が大きいほど発熱し、効率が悪くなるだけでなく熱対策も必要にです。熱対策としては筐体を逃がす、ヒートシンクを取り付けて放熱するといった方法があげられます。変換効率や発熱のことを考慮すると、リニアレギュレータは小電力向けの電源に適しているといえます。

スイッチングレギュレータ

スイッチングレギュレータではスイッチICによって電流のON/OFFを高速に切り替えることで電圧の調整を行う方式です。リニアレギュレータは、入力電圧よりも低い電圧を作る、降圧しかできません。それに対して、スイッチングレギュレータは昇圧、降圧、反転などさまざまな電圧を作り出すことが可能です。

スイッチングレギュレータは、入力端子と出力端子の他に、コイルやコンデンサスイッチICなどの外付け部品を使い、回路を変えることで任意の電圧を作り出します。そのため、スイッチングレギュレータには、昇圧型や降圧型、反転などさまざまな種類が存在します。

スイッチングレギュレータの構成は、制御素子の代わりにスイッチ素子(スイッチIC)を用い、また外部装置としてインデクタ(コイル)、コンバーターを使用します。スイッチをOnにして電力を供給してインデクタにエネルギーを蓄積後、スイッチをOffにしてインデクタから放出されるエネルギーをコンバーターに蓄積します。スイッチのOn/Offを繰り返すことで、出力電圧を調整します。

スイッチ素子によるスイッチングを使った変換はリニアレギュレータの発熱と異なり、変換効率は90%前後と高く、また、効率がよいだけでなく発熱も小さいという特長があります。

しかし、スイッチングの動作によるノイズが発生するため、ノイズ対策の設計が必要です。また、スイッチ素子以外にもコイルやコンデンサなど外付け部品も必要となり、ノイズ対策も含めると設計が複雑になりやすいという点がデメリットです。ただし近年ではスイッチングICの中にコイルやコンデンサといった必要な部品が内蔵されているものもあり、回路設計が楽なものもあります。

スイッチングレギュレータでは発熱の少ない回路を作れることから、低電圧大電流が必要となるデジタル回路の電源に適しています。

DC/DCコンバーターの使用例

DC/DCコンバーターの使用例をご紹介します。実際の白物家電向けの電源ソリューションとして、24Vや15V電源から5Vや3.3Vの電圧を生成するDC/DCコンバーターを使用して、センターやモニターなどの装置を動かしています。以下の資料では、降圧型DC/DCコンバーター(スイッチングレギュレータ)を使用しています。

リニアレギュレータは、低ノイズで電圧を出力できるため、センサーなどノイズに弱い部品に対する電源供給に向いています。しかし、入出力の電圧差が多いと熱放出の問題が出るため、熱対策をしなければなりません。つまり用途としては、ノイズに弱く省電力の用途に適しているといえます。

スイッチングレギュレータは、入出力の電圧差が大きい場合でもリニアレギュレータよりも発熱は少なくすみ、また変換効率もよいというメリットがあります。また、降圧以外にも昇圧や反転などさまざまな変換も可能です。

その代わり、ノイズが大きいという欠点があるため、ノイズ対策を考慮する必要があります。

リニアレギュレータとスイッチングレギュレータの違い

ここまで、DC/DCコンバーターの2つの方式、リニアレギュレータとスイッチングレギュレータについて解説しました。この2つの違いをまとめると、以下のとおりとなります。

リニアレギュレータ スイッチングレギュレータ
電圧変換 降圧のみ 昇圧、降圧、昇降圧、反転
変換効率 約30〜50%程度
高くても70%
90%と高い効率
出力電力 小電力向き 熱対策の設計が必要 大電力でも対応可能
ノイズ 小さい 大きい ノイズ対策の設計が必要
構成 シンプル、設計が簡単 部品数が多く、構成・設計共に複雑
部品数 少ない 多い コンバーターやコイルなどの外付け部品が必要
コスト 安い 高い

スイッチングレギュレータはさまざまな変換ができ、また効率がよいことから、DC/DCコンバーターというとスイッチングレギュレータのことを指す場合もあります。しかし、ノイズ対策が必要なことやコストなどのデメリットから、リニアレギュレータが用いられる場合もあります。

リニアレギュレータ、スイッチングレギュレータともに長所・短所があるため、目的に合ったものを選択しましょう。

DC/DCコンバーターによる電圧変換の仕組み

ここからは、DC/DCコンバーター、特にスイッチングレギュレータの電圧変換の仕組みについて解説していきます。スイッチングレギュレータは降圧、昇圧、反転とさまざまな変換ができますが、どれも変換の仕組みは異なります。

降圧コンバーター

降圧はリニアレギュレータでも実現できますが、スイッチングレギュレータによる降圧の基本的な回路をもとに解説します。

この構成では、入力電圧VINをスイッチS1,S2によって時間分割し、インダクタ(コイル)L1およびコンデンサC1によって必要な電圧に変換することで降圧を実現します。

S1がOn、S2がOffのとき、入力電圧VINから電流が流れ、S1がOff、S2がOnのときゼロボルト状態になります。S1,S2を高速で切り替えることで出力されたパルス波形をインダクタとコンデンサで平滑化します。

S1がOn、S2がOffのときの時間(TON)と、S1がOff、S2がOnの時間(TOFF)の比率によって、出力電圧が決まります。たとえば、VINが5VでTONとTOFFが同じ(1:1、50%)の場合は、2.5Vが生成されます。出力電圧を大きくしたい場合は、この時間の比率を大きくします。

これを数式に表すと、以下のようになります。
 VOUT = VIN × TON / (TON + TOFF)

昇圧コンバーター

昇圧とは、入力電圧よりも高い電圧を出力することで、スイッチングレギュレータのみできます。昇圧も降圧と同じ仕組みですが、構成が異なります。入力電圧側にインダクタを配置し、その先にスイッチを1つ配置して切り替えます。スイッチがOnのときはインダクタに電力が蓄積され、Offになるとインダクタの性質である高電圧(元々入力されていた電気以上の電圧で電気を流す動き)を利用し、コンバーターに高い電圧が流れます。

この仕組みから、スイッチのOnとOffを繰り返すことで、入力電圧よりも高い電圧を出力します。

出力される電流量を考えてみましょう。入力電圧をVIN、SW1をOnにしている時間をTON、インダクタをLとします。TONが長ければ長いほど、Lに蓄積される電流量が増えていきます。

 ION = 1 / L × VIN × TON

スイッチがOffの場合は、インダクタに蓄積されているエネルギーが放出されるため、インダクタの電流は減少します。減少する電流量は以下のとおりです。

 IOFF = 1 / L × (VOUT-VIN) × TON

スイッチをOnにしている間に増加する電流と、スイッチをOffにしている間に減少する電流が同じ分だけ、電圧は上昇します。IONとIOFFが等しいときのVOUTを算出すると、以下のとおりとなります。

 VOUT = VIN × ( TON + TOFF )/ TOFF

昇圧により、入力電圧より高い電圧を得ることができますが、出力電圧が上がると、出力電流は低下します。電力は電圧(V)×電流(I)で算出されます。また、入力電力と出力電力は同じなため、電圧が上がれば電流は低下します。

このため、昇圧比(入力電圧と昇圧された出力電圧の比)が大きければ大きいほど、最大出力電流は低下する点について注意が必要です。

反転コンバーター

反転コンバーターは、電源電圧の極性を反転することができます。

SW1をONすると入力電圧VINからインダクタを介してGNDへの電流が流れ、コイルに電流が流れエネルギーが蓄積されます。

SW1をSW2に切り替えたあとも、インダクタは電流を流しつづけようとします。インダクタが放出するエネルギーによって出力コンデンサが放電され、出力電圧は下がっていきます。このStep1とStep2を交互に切換えると、出力電圧VOUTが 0V 以下に下がっていきます。

SW1のときの期間をTON、インダクタL、入力電圧をVINとすると、電力増加量は

 ION = 1 / L × VIN × TON

SW2のときの期間をTOFF、インダクタの両端に印加される電圧は|VOUT|とすると、電流の減少量は

 IOFF = 1 / L × |VOUT| × TON

インダクタに蓄積された電流の増加量と減少量が等しくなったとき、出力電圧の下降がとまるため、

 |VOUT| = TON / TOFF × VIN

となります。

このように、スイッチングレギュレータはスイッチを切り替えるとともにインダクタおよびコンデンサを使うことで平滑化を行うことで、一定の電圧を調整し出力することができます。

DC/DCコンバーターの制御

DC/DCコンバーターには、昇圧や降圧、反転といった機能による違いの他、出力を制御する動作モード、出力を安定化するフィードバック制御方式等の違いがあります。

出力電圧を制御する動作モードはPWM(Pulse Width ModulatION:パルス幅変調)と、PFM(Pulse Frequency ModulatION:パルス周波数変調)の2つがあります。

先ほど解説した降圧、昇圧、反転では、スイッチのOnとOffの時比率を制御することで、一定の電圧を生成する方式をとっています。この方式はPWM(Pulse Width ModulatION:パルス幅変調)と呼ばれる制御方式です。スイッチング周期が一定で、周期内のOnとOffの時間比を調整することで、電圧を安定化させます。

また、周期内のOnとOffの時間が一定で、スイッチング周期を調整することで電圧を安定化させる制御方式もあります。この方式はPFM(Pulse Frequency ModulatION:パルス周波数変調)と呼ばれる方式です。

出力を安定化するフィードバック制御方式は、電流モード、電圧モード、ヒステリシス制御方式の3つがあります。

電圧モードは、出力電圧だけの帰還ループをとる、最も基本的な方式です。エラーアンプ(誤差増幅器)で出力電圧と基準電圧を比較した後、その差分を三角波で比較し、PWM信号のパルス幅を決めます。制御が比較的シンプルであり、ノイズ耐性が比較的高い方式です。

電流モードは、電圧モードが出力電圧を制御するのと異なり、設定した出力電圧にするために必要な電流を制御する方式です。電圧モードの三角波の代わりに回路のインダクタ電流をフィードバックします。位相補償回路の設計が大幅に簡単になるメリットがあるものの、ノイズに弱いというデメリットがあります。

ヒステリシス制御方式は、エラーアップを使わずコンパレータ(比較器)を使用する方式です。コンパレータで出力電圧と基準電圧を比較し、スイッチのOn/Offのタイミングを制御します。エラーアンプと比べ負荷急変時の応答速度が極めて高いというメリットがあります。しかし、スイッチング周波数が変動することや、等価直列抵抗(ESR:Equivalent Series Resistance)が大きい出力コンデンサが必要という点がデメリットです。

DC/DCコンバーターの仕組みと方式の違いを理解しよう

今回は、電圧を調整するDC/DCコンバーターの仕組みとその動作原理について解説しました。DC/DCコンバーターは方式の違いにより、リニアレギュレータとスイッチングレギュレータがあり、それぞれ長所、短所が異なります。それぞれの特長を理解し、適切なところで使用することが重要です。

リニアレギュレータは制御素子を利用し降圧を行いますが、熱対策が必要です。対してスイッチングレギュレータは、スイッチ素子およびインダクタ、コンデンサを利用して降圧、昇圧、反転などさまざまな変換が可能です。ただし、スイッチングによるノイズが発生するため、ノイズ対策が必要であることを覚えておきましょう。

DC/DCコンバーターは非常に多くの種類があるため、動作についてより深く知りたいという方は、関連情報を検索してみてください。

【資料ダウンロード】リニアレギュレータとスイッチングレギュレータの基礎

スイッチングレギュレータの採用検討や、設計した電源回路確認に必要なスイッチングレギュレータの特性を理解し評価する方法が示されています。

技術資料ダウンロード

リニアレギュレータとスイッチングレギュレータの基礎

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