2020.03.17
・一般に、測定範囲が20G以下のものを低G加速度タイプ、20Gを超えるものを高G加速度タイプと分類。
・同じ加速度センサでも種類によってそれぞれ特徴があるので、用途に応じて選定することが重要。
前回は、加速度センサの原理について説明しました。今回は、加速度センサの分類と、IoT分野では需要が多いMEMSの静電容量式加速度センサを取り上げます。
加速度センサの分類
加速度センサの分類は、何を基準に分類するかで違ってきますが、測定範囲から見た場合、「低G加速度タイプ」と「高G加速度タイプ」に分類することができると思います。
一般に、測定範囲が20G以下のものを低G加速度タイプ、20Gを超えるものを高G加速度タイプに分類しています。低G加速度センサは重力や傾き、人などの動きを検知する目的での利用が多く、高G加速度センサは衝撃の検知が主な用途です。
近年の小型携帯機器やIoT機器に対しては、小型化やインテリジェント化に向く、半導体のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を使った加速度センサが多く使われています。MEMS加速度センサは一般に、加速度を検出する素子と、素子からの信号を扱いやすいように調整する信号処理回路で構成されています。また、主な方式として、静電容量方式、ピエゾ抵抗方式、熱検知方式があります。以下に原理と特徴を簡単にまとめました。同じ方式のセンサでも種類が多いので、特徴は大枠と理解してください。
方式 | 原理 | 特徴 |
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静電容量検出方式 | 素子の固定電極と可動電極から構成され、加速度による可動電極の変位による電極間静電容量を検出。 |
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ピエゾ抵抗方式 | バネで支えられた錘の変位を、バネに配置したピエゾ抵抗素子により検出。 |
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熱検知方式 | 筐体内で暖められた気体の気流が加速度によって変化するのを、温度計測抵抗値の変化により検出。 |
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MEMS静電容量方式加速度センサ
MEMS静電容量方式加速度センサは、姿勢制御など広く使われているので、動作原理について実際のMEMS静電容量式加速度センサの素子部を示してもう少し具体的に説明します。下図は、SEM(走査電子顕微鏡)の画像です。
このセンサ素子は、Siで作られた固定電極と可動電極、スプリングから構成されています。加速度が加わっていない状態では、固定電極と可動電極の間の距離は同じです。加速度がかかると可動電極が移動し、固定電極との位置関係に変化が生じ、電極間静電容量が変化します。発生した容量変化は内部の信号処理回路(ASICなど)で電圧変換され、それを基に加速度を算出します。
加速度センサの選択に関しては、同じ加速度センサでも種類によってそれぞれ特徴があるので、検出原理を理解して用途に応じた選定をすることが重要です。
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