2021.04.13
・Bluetooth 5.0の「4倍の通信距離」は、LE Codedの追加により実現。
・通信距離が最大4倍になるが、データレートが低いことで送信時間が長くなるため平均消費電力が増加する。
・LE 2MとLE Codedの組み合わせはできないため、「2倍の通信速度」と「4倍の通信距離」は両立しない。
・通信速度と通信距離はトレードオフの関係にある。
・Bluetooth 5 認証において、LE 1Mは必須だがLE Codedはオプションとなる。
・通信距離を伸ばせることから、HANやインダストリアルエリアネットワークなどの広域アプリケーションへのBluetoothの利用が期待される。
Bluetooth 5のBluetooth 4からの主な変更点は、「2倍の通信速度」、「4倍の通信距離」、「8倍の通知データ容量」、「高精度な方向検知機能」の4つであることはすでに説明しました。今回は、前回の「2倍の通信速度」に続く2つ目の変更点「4倍の通信距離」についてです。
Bluetooth 5変更点②:4倍の通信距離
Bluetooth 5.0から、LE Codedが追加されました。LE Codedは、従来のLE 1Mに対して符号化をしたもので、S=2(500kbps)とS=8(125kbps)の2種類があり、通信距離を最大4倍まで伸ばすことができます。この機能はロングレンジと呼ばれることもあります。
LE Codedでは、Forward Error Correction(FEC)とPattern Mapperによる符号化をおこない、エラー耐性を高めることで通信距離を伸ばしています。符号化による受信機におけるS/N改善量(理論値)は最大12dBになり、これによりLink budgetが12dB改善されます。これは、通信距離にして4倍の改善に相当します。
通信距離が最大4倍となりますが、データレートが低いことで送信時間が長くなるため、平均消費電力が増加します。また、LE 2MとLE Codedの組み合わせはできません。したがって、「2倍の通信速度」と「4倍の通信距離」は両立しません。通信速度と通信距離はトレードオフの関係にあります。
通信速度:2倍 ⇒ 通信距離:約0.8倍
通信距離:約4倍 ⇒ 通信速度:1/8倍
なお、Bluetooth 5認証に関して、LE 1Mは必須となりますが、LE Codedはオプションになります。
通信範囲拡大で拡がるアプリケーション
Bluetooth 5では通信距離を伸ばせることから、新しいアプリケーションへのBluetoothの利用が考えられます。
Bluetooth low energyは今まで、PCアクセサリ、ヘルスケア機器、ウェアラブル機器、スマートフォンなど、人を中心とした比較的近距離のパーソナルエリアで多く利用されてきました。しかし、通信距離が伸びることにより建物全体をカバーするホームエリアネットワーク(HAN)、工場内および構内を広くカバーするインダストリアルエリアネットワークにも広く利用されることが期待されています。
次回は、3つ目の変更点である「8倍の通知データ容量」に関する説明を予定しています。
ローム主催セミナーの講義資料やDCDCコンバータのセレクションガイドなど、ダウンロード資料をご用意いたしました。
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