2020.11.10
・ライトアップは文化財をより魅力的に見せるのと同時に、文化財の保護に対する配慮が必要。
・LED照明は紫外線が少ないことから、文化財の劣化を低減できる。
・照明の点灯・消灯・制御のための配線が不要で、美観を損ねない。
・配線引き回しが最低限で済み、文化財の一部である壁や柱などに対するダメージを減らすとともに、配線に起因する火災リスクの低減にもつながる。
・照明スイッチやセンサ類は電池交換不要でメンテナンスフリーである。
・スイッチを固定する必要がなく、管理の届くところに持ち運ぶことができるため、観光客のいたずらなどを回避できる。
今回は、文化財のライトアップと保護に貢献するEnOcean照明ソリューションの例を紹介します。
文化財のライトアップおよび保護に貢献するEnOcean照明ソリューション
EnOcean通信は、街づくりの分野において工期短縮やゼロエネルギーに貢献していますが、観光産業においてもその利用が広まっています。EnOcean照明ソリューションは、寺社仏閣などの文化財のライトアップにおいて高い評価を得ています。ライトアップは文化財をより魅力的に見せるのと同時に、文化財の保護に対する配慮が必要になります。文化財には、例えば仏像だけではなく床・壁・柱も含まれています。
EnOcean照明ソリューションによる文化財のライトアップには、以下のメリットがあります。
このような文化財の保護を考慮したシステムが高い評価を得られ、文化財のライトアップソリューションとして採用が進んでいます。
以下に紹介する事例は、基本的に照明の点灯・消灯スイッチを下図のようにリレーに置き換え、EnOcean無線通信によってワイヤレススイッチとするシステムです。
システムには、電池を必要とせずにワイヤレスリモコンの機能を実現する無線通信スイッチモジュールPTM 210Jが使用されています。このモジュールの電力は、内蔵している電磁誘導型の発電素子ECO 200によって供給され、「押す」という動作を電気エネルギーに変えてその生成エネルギーのみで動作します。
導入事例1: 當麻寺(たいまでら) 奈良県
當麻寺は飛鳥時代に創建され、白鳳・天平様式の大伽藍を有し、金堂の弥勒仏や四天王などの白鳳美術をはじめとした歴史的に重要な寺宝・文化財を多数収蔵しています。2014年1月、伽藍三堂(本堂、金堂、講堂)の堂内にEnOcean照明ソリューションが採用されました。これにより、暗いお堂の中ではよく見ることのできなかった本堂の當麻曼陀羅図厨子(国宝)や金堂の弥勒仏坐像(国宝)など「當麻寺のみほとけ」の新たな表情や魅力をつぶさに見ることが可能となりました。
導入事例2: 妙心寺三門 京都府
2014年10月に開催された、「第50回記念 京都非公開文化財特別公開」(主催:公益財団法人京都古文化保存協会)の展示用照明として、妙心寺三門内の、観音菩薩像、十六羅漢像のライトアップシステムにEnOcean照明ソリューションが採用されました。妙心寺は、1337年、95代の花園法皇さまの勅願によって創建され、三門(重要文化財)は慶長4年(1599年)に創建されたものです。観音菩薩像や十六羅漢像、極彩色鮮やかな飛天や鳳凰、龍の図が個別に照明演出されています。
出展:Perpetuum Magazine Japanese Edition 2015 (EnOcean GmbH)
エナジーハーベストによる電池不要の無線通信とセンサソリューションを提供するEnOceanに関する基本情報と基礎知識、スイッチモジュールおよびセンサモジュール製品群の説明です。
エナジーハーベストによる電池不要の無線通信とセンサソリューションを提供するEnOceanに関する基本情報と基礎知識、スイッチモジュールおよびセンサモジュール製品群の説明です。