2017.09.12
・決定したシステムを実現するために、具体的にどんなハードウェアを開発する必要があるのか考える。
・ハードウェアの共有化ができる部分は可能な限り共有化する。
この「無線設計ガイダンス」は、無線設計の経験があまりない、もしくは初めてという人が無線設計を始めるためのものです。ここでは、一例として、近年のIoTの1つである、ビルの空調に通信ネットワークを導入して、快適かつ省エネな空調システムを構築することをイメージしながら、以下の手順で、各々においてどの様なことをするのかを解説して行きます。
今回は④ハードウェアの検討です。
④ハードウェアの検討
前回は、ビルの構造や構築するシステムをもとに、ネットワークトポロジーを検討し、スター構造のネットワークを選択しました。今回は、決定したシステムを実現するために、具体的にどんなハードウェアを開発する必要があるのか考えてみます。
これは、前回決定したシステムで、1フロアに親機1台と子機10台を設置して無線でのデータ通信を行います。親機からは有線で空調の集中制御装置にデータを送ります。
空調の集中制御装置はすでに存在するとして、今回のプロジェクトに必要となるハードウェアは親機と子機です。ここからはこれらを開発するために、それぞれのハードウェア構成を考えていきます。
最初に子機ですが、すでに無線通信用のハードウェアとして、Sub-GHz無線通信モジュールのBP35C0を利用することは決定しています。そして、データのやり取りにはMCU(マイクロコントローラ)が必須です。また、今回のプロジェクトの主題である温度測定のために温度センサが必要です。電源は、フロアの各所に設置することから利便性を考えて電池が望ましいです。
親機は「1対多」のスター構造を実現する必要があります。Wi-Fi通信であれば市販のルーターを流用することができますが、今回はSub-GHz通信でのスター構造構築のために、親機にも子機と同様のBP35C0を利用する必要があります。同様にMCUも必要で、電源は必要な電力から3.3Vを外部供給とします。また、親機と集中制御装置との接続は、標準的な有線のシリアル通信であるRS232CやRS485を使うことにします。
もちろん、これは概略的な構成なのですが、この様な検討をもとに細部と決めていきます。ハードウェア開発おいて重要なポイントがあります。ハードウェアの共有化ができる部分は可能な限り共有化することです。考え方として、なるべく同じ構成、同じ部品で必要な機能を実現することを前提にします。あえて説明するまでもないかもしれませんが、2種類のまったく異なるものを開発するのと、コア部分は共通で機種によって周辺が異なる開発では大幅に手間が違います。開発にかかる時間はもちろんですが、部品調達や数量の関係で価格も違ってきます。この例では、無線モジュールBP35C0とMCUに関する部分は共通化が可能です。
次回は、「⑤ソフトウェアの検討」を予定しています。
Sub-GHz無線はM2MやIoT、ワイヤレスセンサネットワークなどの新市場をはじめ、幅広い分野での活用が検討されています。このハンドブックは、Sub-GHz無線の活用から機器開発の基礎までを解説しています。
Sub-GHz無線はM2MやIoT、ワイヤレスセンサネットワークなどの新市場をはじめ、幅広い分野での活用が検討されています。このハンドブックは、Sub-GHz無線の活用から機器開発の基礎までを解説しています。