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EMCコラム

回路設計とEMC設計の塩梅

はじめに

コラム「回路設計とEMC設計の塩梅」を始めます

注目ワード

はじめまして!ロームの稲垣と申します。
今回御縁がありまして、皆さまと毎月このページで、お会いできることになりました。
LSIやセットを設計する場合、製品仕様に電気的特性を合致させる回路設計と、EMC国際規格に準拠させるEMC設計は一般に背反している為、バランス感覚が必要です。
本EMCコラムでは、このバランス感覚、設計の「塩梅」を皆さまに少しでもお伝え出来ればと思います。
どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

まずは自己紹介から。

入社は今から30年以上前。半導体集積回路(IC)の設計部署に配属されました。
バイポーラICが主流で、プロセス・ルール(メタル層配線幅)は10µm(ミクロン)でした。素子数も数100素子程度で、半導体集積回路(IC)をほぼ手作りしている様な状態でした。回路図はグラフ用紙に手書きで、ブレッド・ボードと言われるバラック基板上に電子部品を半田付けして動作を確認していました。回路シミュレータもなく、電卓による手計算の結果と、ブレッド・ボードの測定値との比較で回路設計していた時代です。量産用のガラス・マスクを作るCADデータも手書きで、デジタイザでデータを読み込むという原始的な環境です。時間がゆっくりと流れていました。

でも上司・先輩はとても厳しくて、理論計算式や手計算の正誤については容赦ない教育?だった記憶があります。測定に関しても同様、プローブの置く位置についても、細かく注意を受けました。パソコン、インターネットもない時代だったので、設計に関する情報は市販の書籍か、上司・先輩に聞くしかなかったです。

そんな時代も時間が解決してくれます。回路シミュレータが導入され、パソコンも配備され、だんだんと理想的な設計環境となっていきました。自分でシミュレーション・モデルを作成し、パラメータ抽出してモデル・パラメータを決めて回路シミュレーションをする。モノ・キット(トランジスタ1個だけが入ったパッケージ)との測定値比較で、どのパラメータがどう効くかも簡単に確認できました。

お客様の要望を全て実現するカスタムICが弊社の強みでしたので、私も20機種位を開発・量産する事になります。とても良い経験でした。1回目試作で基本動作をさせて、2回目試作で特性出しをする。3回目試作で量産対応するというパターンで、音声用・映像用のアナログIC、アナログ・デジタルICを開発しました。当時開発した半導体集積回路(IC)で、今でも量産し続けているものもあります。

やがて東京転勤や研究所出向があり、大学との共同研究にも参画する機会を得ました。この辺りからは、カルチャ・ショック(古い!)の連続でした。海外の評議会にも出席しましたが、外資系競合大手同士が競争技術について語り合っている!同じ場所にいる事自体が信じられませんでした。この共同研究では、シミュレーション・モデルについて徹底的に叩き込まれました。論文の書き方、発表の仕方、会議の進め方等、全ての基礎的な考え方をこの時代に得ています。

出向解除になって、電磁両立性(EMC)に関する業務につきました。初めは何だか良くわからない分野だなぁと言うのが第一印象です。今年で12年目になります。いろいろ実務を行っていると、電磁両立性(EMC)は摩訶不思議な現象でも何でもなくて、かなり理詰めで解決できる事がわかってきました。また回路動作の理解だけでも、かなりの部分に適用できる事もわかってきました。

これらの経験と30数年の蓄積を基に、細部に拘らず半導体集積回路(IC)や電磁両立性(EMC)を俯瞰的に捉え、肝(キモ)の部分をわかりやすく伝えていければと思っています。半導体集積回路(IC)と電磁両立性(EMC)について簡単に説明する初級編と、電磁両立性(EMC)を具体的に説明する中級編の2部構成を考えています。直感的に理解できる様にしたいと思いますので、是非ともお付き合いください!

次回からも、どうぞよろしくお願い致します。

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