電源設計の技術情報サイト

技術資料ダウンロード

エンジニアコラム

回路設計とEMC設計の塩梅

第4回 製品仕様書(1)
半導体集積回路の製品仕様書

仕様書のツボとEMCに関する記載

注目ワード

こんにちは!ロームの稲垣です。
第4回は半導体集積回路の製品仕様書についてです。「半導体集積回路の製品仕様書」と書くと少し物々しい感じですが、普段は「ICのデータシート」と言うことが多いかもしれません。ICを使うには必ず必要になり、仕様書なしでは設計ができないのは言うまでもありません。しかしながら、細部まで目を通し各項目などの意味するところまでを理解していただいているかと言えば、そうとも言えないケースも無きにしも非ずです。今回は仕様書のツボ、押さえるべきポイントをいくつかお話ししたいと思います。

弊社の製品仕様書は一般に次の順で記載されています。製品名、品番、概要、特徴、用途、重要特性、パッケージ、基本アプリケーション回路図、端子配置図、端子説明、ブロック図、各ブロック動作説明、絶対最大定格、熱抵抗、推奨動作条件、機能説明、電気的特性、特性データ、応用回路例、入出力等価回路図、使用上の注意、発注形名情報、標印図、外形寸法図と包装・フォーミング仕様、改訂履歴、ご注意、のように連なっています。

この中で特に重要な記載が、絶対最大定格と、推奨動作条件と、電気的特性です。

1番目の絶対最大定格は、文字通り電気的定格の最大値であり、一瞬たりとも記載の値を超えた電圧や電流などを印加すると保証の対象外となる数値です。記載の値までであれば、半導体集積回路のデバイスがダメージを負わない事・破壊に至らない事を保証する最大値です。電圧や電流以外にも、最大接合温度や保存温度の記載も含みます。

2番目の推奨動作条件は、半導体集積回路の性能を最も引き出せる電源電圧や入出力条件などです。半導体集積回路は、この条件で動作させる事を前提に回路設計がなされていますので、基本的にはこの条件で動作させます。

3番目の電気的特性は、最も重要な記載で半導体集積回路の各特性の保証内容です。保証値が記載されている項目全てが保証されます。各特性は標準値を中心に、保証値を満足するための検査がなされて出荷されています。製品設計の際は、保証値内の電気的特性で正常に動作する様に電気設計をする必要があります。

さて、電磁両立性(EMC)についてはどうでしょうか。EMCに関連する内容は、製品仕様書の表紙に書かれている場合が多いです。具体的には、AEC-Q100対応、高EMI耐量、EMARMOUR™シリーズ、CISPR25規格Class5適合等です。

AEC-Q100は、車載系エミッション規格の一種で、車載電子部品評議会(AEC:Automotive Electronics Council)が定める顧客のための規格で、分類としては次の様になります。

 AEC-Q100:半導体集積回路(LSI,IC等)
 AEC-Q101:個別半導体部品(トランジスタ,ダイオード等)
 AEC-Q200:個別受動部品(抵抗,コンデンサ,インダクタ等)

AEC-Q100では、動作時周囲温度がグレード0~3で定義されています。低温側は-40℃、高温側はグレード順に+150℃、+125℃、+105℃、+85℃です。また同REV-G Appendix 5では、SAE J1752/3を引用しており、TEM CellもしくはWideband TEM Cellによる放射エミッション(RE: Radiated Emission)を定義しています。

高EMI耐量やEMARMOUR™シリーズは、外来の電磁両立性(EMC)雑音による誤動作耐性が大きい事を意味しています(すなわち電磁雑音が大きい環境下でも、半導体集積回路が誤動作しにくい)。

CISPR25規格Class5適合は、車載系エミッション規格(IEC国際規格)で、伝導エミッション・放射エミッションが限度値よりも小さい事を意味します(半導体集積回路から発生する電磁雑音が小さい)。Class5は最も厳しい限度値です。

余談ですが、IEC国際規格やISO国際規格では、電磁両立性(EMC)に関する測定方法を規格化しています。文書内に書かれている数値は規格値ではなく、限度値(参考値)である事に注意して下さい。実際、欧州の車載OEMメーカ等では各社個別規格を持っており、測定方法はIEC規格やISO規格を引用・応用しますが、部品納入のための規格値は独自に決定しています。

御一読頂きまして、どうもありがとうございます。

技術資料ダウンロード