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エンジニアコラム

回路設計とEMC設計の塩梅

第7回 評価回路・基板(1)
評価基板の使い方

ICの動作や性能確認はメーカーの評価基板が基本

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こんにちは! ロームの稲垣です。

2021年になりました。今まで以上に頑張って行きたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

第7回は、「評価回路・基板」の1回目です。半導体集積回路(LSIやIC)の動作や性能を実際に確認する場合は、メーカーが用意している評価基板を使うことができます。製品仕様書やアプリケーション・ノートには、その測定回路図、アート・ワーク(基板レイアウト図)や注意事項等が記載されているので参照します。

使い方としては、電源、入力信号、制御信号等を接続して、出力信号をオシロ・スコープやスペクトラム・アナライザ等で観測します。まずは半導体集積回路(LSIやIC)が所望の動作をするか確認します。ロジック動作の確認では、パラレル制御の場合はHigh信号(H電圧)やLow信号(L電圧)を制御端子に印加します。シリアル制御の場合は、別途データ・ジェネレータ等を用意してシリアルの制御信号を作成して入力します。基本動作が確認できれば、次に電気的特性を確認します。製品仕様書の主要項目である入出力信号(大信号)の確認から、雑音レベルやクロストーク等(微小信号)の確認まで、必要に応じて測定します。

半導体集積回路(LSIやIC)の電気的特性は、そのメーカーが用意した評価基板で測定した場合に最良の値を示します。そして、その値が製品仕様書に記載されている値になっています。したがって製品(セット)での「特性出し」では、その評価基板の測定値や製品仕様書の標準値を参考にすれば良いことになります。評価基板では、電源線・接地線のアート・ワークや、入出力信号線のアート・ワークが全て理想的になっています。各配線の引き回しや配線幅や配線長まで熟考されているので、製品(セット)基板の作成の際の参考にして頂ければと思います。

また、評価基板には基本的に半導体集積回路(LSIやIC)は1個しか搭載されていないので、様々なケースでの電気的特性が測定できます。例えば、電源電圧を標準から上下に変化させた場合(推奨動作電圧範囲内)の特性変化、恒温槽に入れて周囲温度を高温や低温にした場合の特性変化(低温の場合は、霜付きによる端子短絡に注意!)、更には異なる評価基板を複数接続して簡易的な製品試作品の作製に利用する等です。

製品(セット)基板の場合はどうでしょうか? 小・薄・軽・安が顧客から求められる為に、アート・ワーク(基板レイアウト図)も密度が高くなります。特に大きな違いが電源線・接地線ではないでしょうか。評価基板の様に理想的な配線・配置は難しいと思います。完全グランドから非完全グランドになった場合は電気的特性に差異が生じるので注意が必要です。更にアナログ系・デジタル系・パワー系等の接地線の接続方法にもテクニックが必要です。

電磁両立性(EMC)性能については、個々に評価基板の状態で事前に確認しておく事をお勧めします。製品(セット)基板での測定では、全体としてEMCの規格適合判定が出来ますが、不適合となった場合にどの半導体集積回路(LSIやIC)が原因かを調査するのが難しいからです。事前に確認しておく事で、その対策部品や対策回路を予め追加する事が出来て、製品(セット)基板を作成してからのEMC起因による再試作の必要が少なくなるからです。回り道の様に感じますが最終的には、これらは「EMCトラブルの未然防止」に繋がります。

御一読頂きまして、どうもありがとうございます。