-冒頭に「最新のニーズを反映させ車載機器向けに開発した」とありましたが、車載向けは通常品と何が違うのでしょうか?
このLDOシリーズは、開発段階から車載用の専用設計がなされています。車載機器は非常に厳しい条件にさらされます。車載用とするにはいくつかの方法があるのですが、このシリーズは車載専用の設計手法やルールを用いています。
-通常品をスクリーニングすることで車載用としているメーカーがあると思いますが。
もちろんそれも一つの方法だと思いますが、ロームでは専用設計を採用しています。
-具体的には何が違うのですか?
詳細は具体的な採用検討があっての公開となりますが、例えば、高い品質と厳しい環境下でも十分な信頼性を確保する目的では、マージンや冗長性を考慮した設計を行っています。
-生産や品質管理も違うのですか?
生産については自社生産で、しかも一貫体制を敷いています。生産工程と品質管理には車載用フローが用いられており、車載に対応できる高品質と高信頼性を確保する体制になっています。
-そうすると、設計は車載専用設計で、ウェハ製造、組み立て、検査、出荷といった生産工程は一貫体制かつ自社工場になるわけですね。
その通りです。車載となると、高品質と高信頼性はもちろんなのですが、すべてに目と手が届く体制が重要だと考えています。
-ISOなどの品質システムに関してはどのような対応状況でしょうか?
ロームは、自動車向けの品質システムISO/TS16949を取得しています。また、このLDOシリーズは、車載用ICの規格として実質的な業界標準になっているAEC-Q100に対応しています。
-車載といえば、品質信頼性以外にも、納期や供給面に関しても厳しいと思いますが。
ロームの車載用という定義には、納期厳守と安定供給が含まれています。お客様が製品を量産している間は、基本的に生産中止は行いません。車載機器の場合は、長期に渡る安定供給が必須だと考えています。
-災害や景気の波によって需給バランスが変わり納期が延びたりすることがあるかと思いますが、どのような対応をとっていますか?
納期に関しては、自社生産というのがポイントになります。外注の場合は、時に納期が外注先の都合や交渉事になることがあります。自社生産であれば、すべては自社の管理下にあるわけですから、何か不測の状況になっても調整が可能です。災害などによって供給が滞らないように、事業継続計画BCP(Business Continuity Plan)を促進しており、冗長生産が可能な体制を備えています。
-非常にしっかりした考えと体制が整っている印象をもちましたが、簡単にできることではないと思いますが。
ロームは、自動車産業に向けて、10年以上にわたり多種多様なICとディスクリート部品を供給しています。その間に数多くのことにチャレンジし、多くのノウハウを得てきました。その積み重ねが現在に反映されています。もちろん、今後も改善を続けて行きます。
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