業界トップクラスの低導通損失と高速スイッチングを両立し効率を改善
新シリーズは、業界トップクラスの低導通損失(VCE(sat)=1.5V)と高速スイッチング(tf=30~40ns)を達成しました。この2つの特性はトレードオフの関係にありますが、薄ウエハ技術を駆使することで従来品と比較してウエハ厚を15%薄くしたこと、セルを微細化したロームの独自構造を採用したことで両立することができました。以下の比較グラフは、RGWシリーズがVCE(sat)=1.5Vの低導通損失でありながら、約800µJという低いスイッチング損失を実現していることを示しています。
これらの性能向上によって、インターリーブPFC回路に使用した例では、従来品比で軽負荷時に1.2%、重負荷時に0.3%の効率向上を確認しています。
ソフトスイッチングによりオーバーシュート抑制部品を削減
設計全体の最適化によりソフトスイッチングを実現したことにより、同等効率の一般品と比較してスイッチング時に発生する電圧オーバーシュートを50%低減可能です。これにより、オーバーシュート抑制のために必要だったスナバ回路などの部品点数を削減することができます。同時に破損や誤動作なども軽減され、機器の安全性や信頼性も向上します。
以下は、スイッチングオーバーシュートの比較です。オーバーシュートの低減には、ゲート抵抗の抵抗値を調整する方法があります。一般に、ゲート抵抗を大きくすることでオーバーシュートは縮小に向かいますが、スイッチング速度が低下しスイッチング損失が増加します。ゲート抵抗10Ωでの比較では、ロームの新シリーズは一般に比べオーバーシュートは半分以下で収束も非常に良好です。一般品のゲート抵抗を3倍以上の33Ωに増加しても、ロームの新シリーズより大きなオーバーシュートが残っています。
アプリケーションとラインアップ
2µsの短絡耐量が特長のRGTVシリーズと、高速スイッチングが特長のRGWシリーズの2シリーズ、全21機種(1機種は開発中)を現在ラインアップされています。UPS(無停電電源装置)や溶接機、パワーコンディショナーなどの産業機器やエアコン、IH(誘導加熱)などの民生機器の汎用インバータおよびコンバータでの電力変換用途に適しています。
RGTVシリーズ(短絡耐量保持タイプ)
TO-247N | ||
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IGBT単体 | FRD内蔵 | |
30A | RGTV60TS65 | RGTV60TS65D |
50A | RGTV00TS65 | RGTV00TS65D |
80A | RGTVX6TS65 | ★ RGTVX6TS65D |
★:開発中
RGWシリーズ(高速スイッチングタイプ)
TO-247N | ||
---|---|---|
IGBT単体 | FRD内蔵 | |
30A | RGW60TS65 | RGW60TS65D |
50A | RGW80TS65 | RGW80TS65D |
80A | RGW00TS65 | RGW00TS65D |