「Nano Cap™」は、電源回路の出力容量がナノファラッド(nF)オーダーでも安定制御を実現したローム独自の電源技術です。Nano Cap技術を搭載したリニアレギュレータの例では、100nF(0.1µF)の出力容量で安定動作が可能なことから、通常負荷側(マイコンなど他のICなど)の電源端子に付加するバイパスコンデンサ(一般に100nF)があれば、リニアレギュレータの出力コンデンサは実質的に不要になります。
<Nano Cap技術を搭載したリニアレギュレータのポイント>
・リニアレギュレータの出力コンデンサが不要。 ※負荷側に100nF(0.1µF)のコンデンサがある場合。
・従来の低出力容量を特長とした製品に比べ大幅に負荷過渡応答特性を改善。
・出力コンデンサ不要によりスペースおよびコスト削減に寄与。
・今後、オペアンプやLEDドライバなど他のアナログICにもNano Cap技術を展開(一部サンプル出荷中)。
Nano Cap技術によりリニアレギュレータの出力コンデンサを不要に
Nano Cap技術は、ロームの「回路設計」、「レイアウト」、「プロセス」の3つのアナログ技術を結集することで実現した電源技術です。アナログ回路における応答性能改善と、内部配線や増幅器等内部回路などの寄生成分を可能な限り削減したことにより、出力コンデンサ容量を従来技術の1/10以下にすることを可能にしました。
例えば、マイコンの電源をリニアレギュレータで供給する場合、従来のリニアレギュレータでは出力に1µFの出力コンデンサと、マイコンの電源端子(直近)に100nF(0.1µF)のバイパスコンデンサを接続するのが一般的です。これに対してNano Cap搭載リニアレギュレータは、マイコン側のバイパスコンデンサ100nFだけで安定動作します。
100nFの出力容量でも負荷過渡応答を大幅に改善
Nano Cap搭載リニアレギュレータと、既存の出力容量100nF対応品の負荷過渡応答を比較した例を示します。出力電圧は5V、負荷変動は50mAで、出力コンデンサが1µF時と100nF時の特性を比較しています。
出力コンデンサが100nFの条件では、従来品の出力電圧変動±15.6%であったのに対して、Nano Cap搭載品は±3.6%という非常に優れた負荷過渡応答特性を示しました。標準的な負荷過渡応答に対する要求が±5%と言われていますが、十分に対応できることが確認できます。したがって、負荷側に100nFのコンデンサが付加されていれば、Nano Cap搭載品は実質的に出力コンデンサなしで安定動作します。
- Nano Cap他、Nano Pulse Control™、Nano Energy™のNanoシリーズの特設ページ
※Nano Cap™、Nano Pulse Control™、Nano Energy™は、ローム株式会社の商標です。