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QuiCur™ : 電源ICの応答性能を極限まで追求できる革新的電源技術:高速負荷応答技術「QuiCur™」とは

2022.05.31

ロームは、DC/DCコンバータICをはじめ、各種電源ICの負荷応答特性を向上させる新しい電源技術「QuiCur™(クイッカー)」を発表しました。QuiCur™は、高速負荷応答を実現するロームの独自回路「Quick Current」から名付けた商標です。

電源回路には、優れた応答性能安定動作が求められており、入出力条件に合わせた最適化のための設計および評価にはそれなりの工数が必要になります。電源ICへの基本要求と言えるこれらの課題を解決するために、電源ICの応答性能を極限まで追求可能にしながら、電源回路設計工数を大幅削減する新技術がQuiCur™です。

現在、QuiCur™技術を搭載した電源ICの製品化を進めており、2022年4月にDC/DCコンバータIC、2022年7月にリニアレギュレータのサンプル出荷が予定されています。

高速負荷応答技術「QuiCur™」とは

電源ICは、常に出力電圧を監視し電源IC内部の基準電圧と比較し出力を調整する帰還ループによって出力の安定化を図っています。この帰還ループの応答が高速であれば、負荷電流の過渡的な変動にともなって発生する出力電圧の変動を短時間で収束させ安定状態に戻すことが可能になります。しかしながら、負荷応答を高速にするにつれて、帰還ループの動作が不安定になり出力が発振するなどの不都合が生じます。また、出力コンデンサの静電容量によっても応答特性は変化することから、理想的な応答性能を実現するのは容易ではありません。

電源回路の帰還ループの応答特性は、基本的に使用する電源ICの性能に依存し、今回開発した高速負荷応答技術QuiCur™を電源ICに搭載することによって、従来実現が難しかった帰還ループの不安定領域直前に至るまでの高速応答性能を実現することができます。

また、電源ICに必要な出力コンデンサの静電容量を最小限に抑えることが可能で、部品点数や基板実装面積を削減できます。さらに、出力電圧変動と出力コンデンサの静電容量との関係において、線形な調整(定数が負の比例関係)を可能にしたことで、電源仕様の変更にともない出力コンデンサの静電容量が増大した場合にも、簡単に期待する安定動作を実現可能です。

したがって、QuiCur™を電源ICに搭載することによって、部品点数の削減と容易に安定な高速応答が実現でき、電源回路設計工数の大幅削減が可能です。

高速負荷応答技術「QuiCur」とは。QuiCurのコンセプトと回路概要。

高速負荷応答技術「QuiCur™」がもたらすユーザーメリット

電源回路の帰還ループの負荷応答速度を最大限にすることが可能なQuiCur™のメリットを以下に示します。

出力コンデンサの部品点数や基板実装面積を削減可能

QuiCur™により負荷応答速度を最大限にできるため、電源ICに必要な出力コンデンサの静電容量を低減できます。これによって、部品点数や基板実装面積を削減可能です。下図は、ローム従来品とQuiCur™搭載のDC/DCコンバータの比較です。近似の負荷応答特性を得るために必要な出力コンデンサの静電容量は、多く見積もっても従来品の半分以下(下記比較は1/4)で済むことがわかります。

高速負荷応答技術「QuiCur」:出力コンデンサの部品点数や基板実装面積を削減可能。

電源仕様が変更になっても簡単に期待する安定動作を実現

出力コンデンサの静電容量を大きくすると、出力電圧は安定する一方で過渡応答特性(反応するまでの時間)は低下します。QuiCur™では、出力コンデンサ容量が大きくなっても過渡応答特性が変化しないため、出力コンデンサの静電容量に対する出力電圧変動の線形な調整(定数が負の比例関係)を可能にしています。下図は、出力コンデンサの静電容量を2倍にした例で、ゼロクロス周波数(応答特性に関わるパラメータの1つ)には変化がなく、出力電圧変動は1/2であることを示しています。したがって、基板面積の削減や応答特性の改善といった変更への対応が容易になります。

高速負荷応答技術「QuiCur」:電源仕様が変更になっても簡単に期待する安定動作を実現。

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