2018.08.07
ラピスセミコンダクタは、世界最小*のワイヤレス給電制御チップセットML7630(受電・端末側)、ML7631(送電・充電器側)を開発しました。このチップセットは、ウェアラブル機器の中でも特に実装スペースに制約のあるBluetooth®ヘッドセットなどのヒアラブル機器のワイヤレス給電を可能にすることで充電用コネクタを不要にし、さらなる小型化と充電の利便性向上に加えて防水・防塵性能を向上させることもできます。 *2018年3月ラピスセミコンダクタ調べ
ヒアラブル機器はさらなる小型化のために端子レスが課題に
近年、新世代のウェアラブル機器として耳に付けるヒアラブル機器が注目されています。ヒアラブル機器は超小型であることが最重要の要求事項となるため、MicroUSBコネクタなど給電/充電用の端子が小型化の妨げになり大きな課題となっています。その中で、ワイヤレス給電は給電/充電用の端子が不要になり、機器の小型化において有効な給電システムです。また、端子レスにより防水・防塵性能などの向上も可能です。
ML7630/ML7631は、電力伝送に13.56MHzの高周波帯を使用することで、1μH程度の小型のアンテナ(コイル)を使用することができます。例えば、受電用に超小型のキューブアンテナを使用した場合、MicroUSBコネクタを使用した給電部の占有面積に対して、ML7630は給電(受電)部の占有面積を約50%*削減できます。また、フレキシブルアンテナも使用可能です。(*当社算出)
超小型SoCにソフトウェアを搭載し、マイコンレスでさらに小型化
ML7630/ML7631は、受電と送電に必要な機能をそれぞれ1チップに統合したSoC(システムオンチップ)で必要な部品は最低限です。受電用ML7630はわずか2.6mm×2.6mmのチップサイズパッケージで、送電用ML7631は5.0mm×5.0mmのQFNパッケージです。
必要なソフトウェアも搭載しているので、マイコンを使わずにワイヤレス給電制御を実現することができます。そのため、マイコンの実装スペースを削減することができさらに小型化が可能です。また、ソフトウェア開発が不要なため、簡単かつ迅速にワイヤレス給電システムの開発ができます。充電電圧や再充電電圧などのカスタマイズは、ラピスセミコンダクタが提供するPC用コンフィグレーションツールから設定することが可能です。
5V駆動でシステム全体のモバイル化を実現
送電用ML7631の電源電圧は5Vです。モバイルバッテリなどを含めたUSB電源をそのまま電源として使用することができます。受電用ML7630は電源不要ですので、例えば、モバイルバッテリ+ML7631+ML7630+充電対象機器といった構成が可能で、システム全体のモバイル化が可能です。
ML7630/ML7631の概要
受電用ML7630は、200mW出力のワイヤレス給電が可能です。アンテナの磁界から電力を生成するので、バッテリが空になっても動作を開始することが可能です。また、NFC Forum Type3 Tag機能を搭載しており、NFCタッチによるBluetoothのペアリングなどをサポートします。送電用ML7631は、受電デバイスの脱着検出、送電出力レベルの設定など送電に必要な機能を1チップに集積しています。
ML7630:13.56MHz(NFC)
ワイヤレス受電LSI
ML7631:13.56MHz(NFC)
ワイヤレス送電LSI
※各機能の詳細については、「機能編」を参照願います。 開発サポート
ML7630/ML7631チップセットには、簡単にワイヤレス給電の評価を開始できる評価キットが2018年7月から提供される予定です。データシートおよびアプリケーションノート、ユーザ個別の設定がPCから可能なコンフィグレーションツール、アンテナサポートなど様々なサポートを用意しています。
13.56MHz(NFC)ワイヤレス給電チップセット
■特設サイト
■サポートサイト
ロームグループは、スマートフォンやタブレット端末向けのワイヤレス給電規格(WPC Qiなど)に対応した様々な製品を開発、提供しています。ラピスセミコンダクタは、NFC Forumのプリンシパルメンバであるロームグループの一員としてロームと共に超小型ワイヤレス給電システムが求められるウェアラブル機器に適した13.56MHzワイヤレス給電の規格策定に積極的に取り組んでいます。
ローム主催セミナーの講義資料やDCDCコンバータのセレクションガイドなど、ダウンロード資料をご用意いたしました。
ローム主催セミナーの講義資料やDCDCコンバータのセレクションガイドなど、ダウンロード資料をご用意いたしました。