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2016.01.19 伝達関数
ここからは、スロープの伝達関数を考えていきます。以下の図は、「伝達関数と導出の基本的な考え方」で使った図2ですが、この項からは、前項までのエラーアンプ部G1(S)に続くPWMとドライバの部分G2(S)についての説明になります。代表的なPWM制御には、電圧モードと電流モードがあります。最初に電圧モードの伝達関数から始めます。
電圧モードの伝達関数
DC/DCコンバータにおける電圧モード制御は、最も基本的な方式です。帰還ループを介して、出力電圧だけを帰還します。エラーアンプで基準電圧と比較した差分の電圧をさらにスロープ(Slope)波(三角波)と比較することで、PWM信号のパルス幅を決めて出力電圧を制御します。
図1は、PWM発生器にエラーアンプからの出力Vcとスロープ電圧が入力され、PWM出力を生成するブロックを示しています。
ここでは、固定のスロープ波とVcの比較によってデューティ D = Ton / T を制御するPWMであるFmの伝達関数を導出します。
図2は、入力波形と、PWM出力波形を示しています。スロープ波は、一周期の間にVramp分を一定の傾きで上昇します。Vcとの比較によって、ドライバ出力VDoutのオンとオフの時間、つまりデューティサイクルが決まります。制御条件は以下になります。
Vc > Vslope の時 VDout = ON
Vc < Vslope の時 VDout = OFF
また、図 2において
Vslope = Vc = 0 の時 D = 0
Vslope = Vc = Vramp の時 D = 1
この時、 VslopeとVcからできる三角形の相似より式 3-1が成立し、D = Ton / Tを用いてそれを変形することで式 3-2 を求めることができます。
さらに、式 3-2 に対して摂動( D → D + ∆D、Vc → Vc + ∆vc)を考慮すると式 3-3 が求められます。
・エラーアンプの出力とスロープ波からPWM出力を生成する部分の伝達関数を導出する。
・この項では最初に電圧モード制御の伝達関数を考える。