プリントヘッド|基礎編

サーマルプリントヘッドのグレーズ、保護膜

2024.12.09

グレーズと保護膜は、サーマルプリントヘッドにおいて印字品質や寿命などの性能を左右する重要なファクターとなります。
グレーズは蓄熱の機能を持っており、その蓄熱性が高いほど発熱体の熱を効率よく媒体に伝えることができます。しかしその反面、熱応答が遅くなると、書き出しのカスレや書き終わりの滲みが起こりやすくなります。
保護膜はプリントヘッドの内部回路を保護する役割を持っています。保護膜が硬ければ硬いほど印刷時の摩耗が少なく、長期間回路を保護することができます。また、保護膜の熱伝導性が高いほど発熱体の熱を媒体に効率よく伝えることができます。それ以外にも保護膜はスティッキング性能(媒体への貼りつき)や静電気対策などを考慮して選定する必要があります。

サーマルプリントヘッドのグレーズ

サーマルプリントヘッドのグレーズ

サーマルプリントヘッドのグレーズとは、セラミック基板と配線の間に設ける蓄熱層のことです。放熱性の高いセラミック基板に対して発熱体の放熱を調整するために設けられています。発熱体に電流が流れる際に発生する熱を効率よく感熱紙などの媒体に伝えることで、プリンターの省エネや印字品質の向上に貢献します。
ロームでは、用途に合わせて部分グレーズと全面グレーズの2種類を用意しています。

部分グレーズ

部分グレーズとは発熱体の下にだけグレーズを形成したタイプで、更に厚みを薄くすることでグレーズの蓄熱性が低くなるように設計されています。熱応答が早く、書き出しのカスレや書き終わりの滲みが起こりにくくなっているため、高速での印刷に向いています。ただし、抵抗体の熱を効率よく媒体に伝えることができないため、供給する電源は高い電圧が必要になります。
主な用途:150mm/s以上の高速印字、据え置きタイプのプリンター

全面グレーズ

全面グレーズとは基板全面にグレーズを形成したタイプで、厚みを厚くすることでグレーズの蓄熱性が高くなるように設計されています。熱応答が遅くなりますが、発熱体の熱を効率よく媒体に伝えることができるため低い電圧で駆動することができます。
主な用途:50mm/s前後の低速印字、モバイルタイプのバッテリー内蔵プリンター

サーマルプリントヘッドの保護膜

サーマルプリントヘッドの保護膜は、その素材や構造により耐摩耗性、耐環境性、温度変化への耐性を向上させることで、サーマルプリントヘッドの寿命を延ばし、メンテナンス頻度を低減します。また、感熱紙との接触面を滑らかにするなど、高品質な印字を実現するためにも重要な要素です。
ロームのサーマルプリントヘッドではNコート、Bコート、Xコート、Wコートと、それぞれ特徴が異なる4種類の保護膜があります。

Nコート Bコート Xコート Wコート
特長 標準仕様
低コスト
帯電防止+耐摩耗
あらゆる印刷物に対応
スティッキング対策
+帯電防止
高速印字でも優れた耐静電気性を発揮
帯電防止+耐摩耗
+摺動性
耐摩耗性が高く長寿命、高速連続印字に対応
用途例 モバイルプリンター モバイルプリンター
POSプリンター
POSプリンター 物流
デートコードプリンター

Nコート

保証寿命やスティッキング性能は高くありませんが4種類のラインアップの中で最も安価な標準仕様です。
主な用途:モバイルプリンター

Bコート

静電気対策が施された仕様です。導電性の材料を使用することでサーマルプリントヘッドに静電気が溜まらないように設計されています。
主な用途:モバイルプリンター、POSプリンター

Xコート

スティッキング対策、静電気対策が施された仕様です。特殊な材料を使用することで印刷時に媒体に貼りつかないように設計されています。
主な用途:POSプリンター

Wコート

硬い材料を使用しており、4種類のラインアップの中で最も摩耗が少ない長寿命仕様です。静電気対策も施されていますが、スティッキング性能はXコートと比べると劣ります。主な用途:物流やデートコードプリンター

まとめ

グレーズと保護膜の種類によりサーマルプリントヘッドの性能が変わります。それぞれ一長一短の特徴を持っているため用途に合わせて選定する必要があります。今回ご紹介したラインアップ以外にも、ロームでは特殊な仕様への対応のご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。