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2020.05.12 センサ

気圧センサ

センサの基礎

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圧力のセンシングは、非常に広範なアプリケーションで必要とされています。例えば民生分野では、エアコン、給湯器、掃除機、医療分野では血圧計、産業分野では油圧計、水圧計、空圧計など、システム制御や安全性確保など様々な目的で利用されています。

圧力センサの分類

圧力センサは用途が広範なことから、非常に多くの種類があります。圧力センサには、測定する圧力値などにより、下図のような様々な材料や方式のセンサが存在します。

圧力センサの分類例。

これらの圧力センサのうち、大気圧を検知するセンサを一般的に気圧センサ、もしくは大気圧センサと呼んでいます。

気圧センサとは

気圧センサとは大気の圧力を検知するセンサです。気圧センサの代表的なものとして、シリコン半導体を使用したピエゾ抵抗方式のものがあげられます(上記分類図参照)。今回はこのピエゾ抵抗式の気圧センサに絞って説明をします。

ピエゾ抵抗方式の気圧センサ

ピエゾ抵抗方式の圧力センサは、Si単結晶板をダイヤフラム(受圧素子)とします。その表面に不純物を拡散させ抵抗ブリッジ回路を形成し、圧力が加わった時の抵抗ブリッジの歪みを抵抗値の変化として検出し、圧力(気圧)を算出します。この抵抗に加わった圧力によって抵抗率(電気導電率)が変化する現象を、ピエゾ抵抗効果または、圧抵抗効果と呼んでいます。

ピエゾ抵抗方式の圧力センサの構造と検知原理

気圧センサは素子レベルのものもありますが、近年はMEMS技術によりダイヤフラム構造とピエゾ抵抗を集積化したピエゾ抵抗式受圧素子とADコンバータを組み合わせた気圧センサICが多く使われています。

実際の気圧センサICの例

実際の気圧センサICとして、BM1386GLVを例にとります。BM1386GLVはピエゾ抵抗式気圧センサICで、300hPaから1300hPaの気圧を検出可能で、相対気圧精度は±0.12hPa(Typ.)、絶対気圧精度は±1hPa(Typ.)です。温度補正処理、制御回路等を含めた集積回路を1パッケージ化したもので、簡単に高精度な気圧情報を取得することができるのが特長です。以下にパッケージと内部構造、基本アプリケーション回路を含んだ機能ブロック図を示します。

温度補正回路内蔵ピエゾ抵抗方式の圧力センサBM1386GLVのパッケージ。温度補正回路内蔵ピエゾ抵抗方式の圧力センサBM1386GLVの内部構造模式図。

温度補正回路内蔵ピエゾ抵抗方式の圧力センサBM1386GLVの機能ブロック図

ブロック図が示すように、ピエゾ抵抗式受圧素子からの気圧データと温度補正処理に必要な温度データがADコンバータでデジタル化され、シグナルプロセッサにより処理されます。FIFO(Memory)も搭載しており、通信インタフェースはI2Cです。

多くの気圧センサはADコンバータから気圧と温度のデジタルデータを出力するのが一般的で、気圧データと温度データを用いて計算を行い補正した気圧値を得るために、外部にシグナルプロセッサなどが必要になります。温度は気圧センサ出力に影響を及ぼすため温度補正は必須です。

BM1386GLVはシグナルプロセッサを内蔵しているので、補正された気圧値が直接出力されます。したがって、マイコンでデータを取り込むだけで温度補正された気圧値が得られるのが大きな利点になっています。

気圧センサICの選択においては、センサの測定範囲や精度などのスペックに加えて、どこまでの機能を備えていることが必要かということも重要なポイントになります。

気圧センサのアプリケーション例

気圧センサを使ったアプリケーションは多種多様です。一例として、気圧の変化から高度を求めることができることから、センサを持った人がビルの何階にいるかを検知したり、行った昇降距離をもとに活動量計のカロリー計算に反映させたりなどが可能です。以下は、ビルを階段で地下2階から9階まで移動した場合の気圧データ(BM1386GLV使用)の例です。

ビルを階段で地下2階から9階まで移動した場合の気圧データ(BM1386GLV使用)の例。

気圧変化と高度の関係から、1階あたり約2.8m上昇したことがわかり、これから何階にいるかが検知可能です。

※計算で使用している8.33mは、「高度が100m上昇すると気圧が約12hPa下がる」という法則から、1hPaの気圧変化で約8.33m(100m÷12hPa)変化することを根拠としています。

キーポイント:

・圧力のセンシングは、非常に広範なアプリケーションで必要とされいる。

・大気圧を検知するセンサを一般的に気圧センサ、もしくは大気圧センサと呼んでいる。

・気圧センサの代表的なものとして、シリコン半導体を使用したピエゾ抵抗方式のものがあげられる。

・気圧の変化から高度を求めることができるので、センサを持った人がビルの何階にいるかを検知する、また、昇降距離を利用するアプリケーションでの使用が可能。