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2020.09.29 センサ

脈波センサ

センサの基礎

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ウェアラブル機器には、様々な生体情報を取得してヘルスケアなどに役立てる目的の製品が数多くあります。センサの中には脈波を測定する脈波センサがあり、脈波測定により脈拍、ストレスレベルなどの生体情報を得ることが可能です。

脈波センサとは

脈波は心臓が血液を送り出すことに伴い発生する血管の容積変化を波形としてとらえたもので、この容積変化を測定できるものが脈波センサです。

生体情報の1つとして心拍数があります。心拍数の測定には、心電図法、光電脈波法、血圧計測法、心音図法と大きく4つの方法があり、光電脈波法は脈波センサを使う方法です。

心拍数測定方法の種類。

光電脈波法で使用する脈波センサには測定方法の違いから透過型と反射型があります。

透過型は体表面から赤外線や赤色光を照射し、心臓の脈動に伴って変化する血流量の変化を、体内を透過する光の変化量として計測することで脈波を測定します。この方式は指先や耳たぶなど透過しやすい箇所の計測に限定されます。

反射型は、赤外線や赤色光、また緑色光を生体に照射し、受光素子用いて生体内を反射した光を測定することで、脈動に伴って変化する血管の容量を検出することで脈波を測定します。反射光の計測なので、透過型のように測定箇所を限定する必要がなくなります。

脈波センサの応用

脈波センサの測定で得られる波形から、変動の周期をみることで心拍数(脈拍数)を測定することができます。さらに、高速サンプリングや高精度測定を行うことで、HRV解析(ストレスレベル)や血管年齢など、様々なバイタルサインも取得できる期待が持たれています。

脈波センサの応用。

反射型脈波センサ

ウェアラブル機器を考えた場合、測定箇所を限定しない反射型は装着箇所の自由度が高く、幅広いアプリケーションに使用することが期待されます。

先に述べたように、反射型脈波センサは赤外線や赤色光、また550nm付近の緑色波長の光を生体に照射し、フォトダイオードやフォトトランジスタを用いて生体内を反射した光を測定します。動脈の血液内には酸化ヘモグロビンが存在し、入射光を吸収する特性があるため、心臓の脈動に伴って変化する血流量=血管の容量変化を時系列に検出することで脈波信号を計測します(下図参照)。

反射型脈波測定の仕組み。

反射型脈波センサの選択において留意することがあります。反射型センサは照射する光によって使い分けが必要になります。

赤外線や赤色光を使って脈波を計測する場合、屋外では太陽光に含まれる赤外線などの影響を受けてしまい、安定した脈波測定が困難です。したがって、一般的には屋内や半屋内に限定したアプリケーションでの使用になります。

ヘルスケアを目的としたウェアラブル機器には時計型やバンド型が多く、屋外使用することも前提になっています。屋外使用を視野に入れた機器での脈波計測では、血液中のヘモグロビンの吸収率が高く、外乱光の影響の少ない緑色の光源が適しています。

実際の反射型脈波センサの例

BH1792GLCは、LEDドライバと緑色およびデバイスの装着の判別に用いるIR(赤外光)ダイオードを搭載した光学式脈波センサICです。LED光を生体内に向けて照射した時の反射光の強度を測定します。LEDの輝度は、LEDの駆動電流にて調整可能です。高い感度と優れた波長選択性を備えた緑色検出用フォトダイオードを用いることで、精度よく脈波信号を得ることができます。

▶ 電源電圧範囲: 2.5V to 3.6V
▶ 動作時消費電流:200μA(Typ)
▶ パワーダウン時消費電流:0.8μA(Typ)
▶ 動作温度範囲:-20℃~+85℃

▶ 波長選択性に優れたGreenフィルタと赤外光除去フィルタ搭載
▶ 高感度Greenフォトダイオードと赤外線フォトダイオード搭載
▶ 高サンプリング周波数対応:1024Hz
▶ I2Cインタフェース(f/s mode対応)
▶ FIFO内蔵

反射型脈波センサBH1792GLCの機能ブロック図。

反射型脈波センサBH1792GLCのパッケージ。

キーポイント:

・脈波は心臓が血液を送り出すことに伴い発生する血管の容積変化を波形としてとらえたもので、それを測定できるものが脈波センサ。

・脈波センサで得た波形から心拍数が計測可能。

・光電脈波法で使用する脈波センサには測定方法の違いから透過型と反射型がある。

・反射型脈波センサは透過型のように測定箇所を限定しないのでウェアラブル機器に向く。

・赤外線・赤色光を使う反射型脈波センサは屋外使用には向かない。

・緑色光を使う反射型脈波センサは屋外使用でも高精度に測定できる。