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2020.10.27 センサ

電流センサ

センサの基礎

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電流の検出は、計測、制御、安全性の確保など、広範かつ様々な用途に利用されています。電流を検出するセンサには、その検出方法によっていくつかの種類があります。

電流センサとは

電流センサは、回路に流れている電流を測るセンサです。電流を検出する方法から、抵抗検出型と磁場検出型に大きく分けることができます。

電流センサの種類。

●抵抗検出型
シャント抵抗による電圧降下を電流に変換するオームの法則を利用した方法です。実装が簡単で安価で扱いやすいというメリットがありますが、抵抗による電圧降下を利用するので、電力損失と発熱がデメリットとなります。

●磁場検出型
磁場検出型は、電流により発生する磁場を測定することで電流を測定します。コアを利用する方法としない方法があります。

<コアあり>
電流線に流れる電流により、コアに発生する磁場の大きさを測定することで電流を計測します。この方法は非接触で電力損失は少ないことがメリットですが、コアは大きさによって他の方法より実装面積が大きくなることが課題です。

<コアなし:ホールセンサ>
ホール素子を利用して、流れる電流のまわりに発生する磁界をホール効果で電圧(ホール電圧)に変換し、その電圧から電流値を得ます。ホール素子が発生する電圧が小さいため、増幅回路(オペアンプ)が必要になります。近年はホール素子と増幅回路で構成されたIC(ホールICなどと呼ばれる)を利用することが多いと思います。この方法では、IC内に電流を引き込む必要があるため電力損失が発生します。

<コアなし:MIセンサ>
MI(Magneto Impedance)素子を利用した非接触型電流センサです。パッケージ内に電流を引き込まず非接触で磁場を検出できるので、基本的に電力損失がないのが大きな特徴です。また、ホールセンサと比較して感度が高いのも特徴になります。

実際のMI電流センサ

MI電流センサは、「非接触で損失は小さいが実装面積が大きい(コアあり)」、「ICに電流を引き込むため電力損失が大きい(コアなし:ホールセンサ)」といった磁場検出型電流センサの課題を解消することが可能です。MIセンサICの例としてBM14270AMUV-LBを取り上げます。

BM14270AMUV-LBは特殊なアモルファスワイヤを使用し、その磁気インピーダンス効果を応用した次世代センサです。超高感度な磁気検出能力を有しており、磁気の微小な変化も高精度に測定が可能です。このためパッケージ内に電流を引き込まなくても、非接触かつ高精度に電流検出(磁気検出)をすることができます。以下にホールセンサとの磁場検出の比較図を示します。

ホール電流センサとMI電流センサの構造と電流検出方法の違い。

このようにMI電流センサは非接触でICに電流を引き込む必要もないことがら、大電流計測においても基本的に損失がなく発熱もないことから信頼性が高く、実装面積もさらに小さくすることが可能となります。また、ICとしても非常に小型です。

BM14270AMUV-LBの内部構成を示すブロック図と基本アプリケーション回路を示します。

MIセンサ素子のアナログ出力をアンプで受けADコンバータによりデジタル化し、信号調整回路を経てI2Cインタフェースにより外部ホスト(マイコンなど)と通信を行います。出力は14ビットと高分解能です。動作時の消費電流は70µA(Typ)と、他の電流センサに比べて非常に小さくなっています。主な電気的仕様とパッケージ仕様は以下となります。

 動作電源電圧範囲: 2.7 V~5.5 V
 動作時消費電流(20 SPS): 70 μA(Typ)
 測定可能入力磁気範囲: ±280 μT(Typ)
 磁気感度: 0.045 μT/LSB(Typ)
 動作温度範囲: -40℃~+125℃
 パッケージ:VQFN20QV3535

MI電流センサBM14270AMUV-LBのパッケージ:VQFN20QV3535 3.50×3.50×1.00(mm)。

VQFN20QV3535
3.50×3.50×1.00(mm)

電流測定のためには、センサ構成に従った以下のような基板レイアウトと実装が必要になります。詳細はデータシートを参照してください。


BM14270AMUV-LBには、磁界検出方向の異なるセンサが2つ搭載されています。2つのセンサで検出した磁界の差分を出力する構成となっています。したがって、出力は、センサA-センサBとなります。

MI電流センサBM14270AMUV-LBの内部センサ構成。

実装基板のパターンレイアウトの例を示します。このように実装することで2つのセンサに異なる方向の磁界が印加され、電流量に応じた磁界が検出できます。また、外乱磁場は2つのセンサに対して同じ方向に印加されるため、動作範囲内の外乱磁界の影響をキャンセルすることができます。

MI電流センサBM14270AMUV-LBの実装パターンレイアウト例。

I2Cを通じた通信フォーマットに関してもデータシートに詳細があります。取得したデータの読み出しなどの操作方法はデータシートに基づきます。

キーポイント:

・電流センサは、回路に流れている電流を測るセンサ。

・電流を検出する方法から、抵抗検出型と磁場検出型に大きく分けることができる。

・抵抗検出型は、シャント抵抗による電圧降下を電流に変換する。簡単で安価だが電力損失と発熱がデメリット。

・磁場検出型には、コアを使用するものとしないものがある。

・磁場検出型コア使用のものは、非接触で電力損失は少ないが実装面積が大きくなることが課題。

・磁場検出型コア不使用の従来型であるホールセンサはIC化により小型だが、IC内に電流を引き込む必要があるため電力損失が発生する。

・磁場検出型コア不使用の次世代センサであるMIセンサは、パッケージ内に電流を引き込まず非接触で磁場を検出できるので基本的に電力損失がないのと感度が高いのが特徴。