回路シミュレーション

シミュレーション結果表示ツール : Wavebox

2021.06.29

この記事のポイント

・Waveboxはシミュレーション結果を表示するツール。

・波形表示、波形拡大・縮小、複数表示、演算結果表示など多彩で操作も簡単。

・Waveboxの波形データをCSVファイルに出力しダウンロードできる。

※本記事に掲載している情報は2021年06月29日時点での情報となります。予めご了承下さい。

ROHM Solution Simulatorのシミュレーション結果の表示ツールの1つであるWaveboxの操作方法を説明します。この記事に直接入られた方は、「シミュレーション回路の起動」を参考に、例題のシミュレーション回路を起動させてください。以下のリンクからも直接起動できます。 https://www.rohm.co.jp/solution-simulator/buck_converter_vo250v_io20a なお、操作方法などの確認を急ぐ場合は、「ハンズオンユーザーズマニュアル(PDF)」をご利用ください。

シミュレーション結果表示ツール:Wavebox

具体例を使ってWaveboxの操作方法を説明します。まず、例題のシミュレーション回路を起動してください。起動するとすでにいくつかのWaveboxが開いていますが、ここでは手順を最初から説明したいので一旦各ボックスの右上の×マークをクリックして閉じてください。

●例:インダクタu1を流れる電流i(p1)をWaveboxで表示する

インダクタu1を通じて出力方向に流れる電流を表示します(図1)。その過程で各操作を説明して行きます。

図1. インダクタu1を通じて出力方向に流れる電流i(p1)

インダクタu1を通じて出力方向に流れる電流i(p1)。

Waveboxの表示と消去

Waveboxを表示するには、回路図ツールバーのプローブアイコンを結線上もしくはコンポーネントにドラッグ&ドロップします。するとすぐにWaveboxが開き、波形を表示します。Waveboxの消去はウィンドウ右上の×マークをクリックします。ウィンドウの移動、拡大・縮小はPCなどでの扱いと基本的に同じで、タイトルバーを掴んで移動、枠を掴んで拡大・縮小します。

図2は、例のインダクタu1を流れる電流を観測するために、プローブをドラッグ&ドロップした場合です。コンポーネントにプローブをドロップすると、観測できる内部信号のメニューが開きます。例(図1)に従って、i(p1)を選択すると、図3のように電流波形が表示されます。

図2. Waveboxの表示

Waveboxの表示。

<Wavebox表示と消去のポイント>

  • ・配線上にプローブを置くと、その点での電圧波形が表示される。
  • ・コンポーネントにプローブを置くとプルダウンメニューが開き、表示する内部信号(電圧、電流など)を選択すると、該当の波形が表示される(図2)。
  • ・ウィンドウ右上の×マークをクリックするとウィンドウが閉じる。
  • ・上部タイトルバーを掴んで任意の位置に移動できる。
  • ・ウィンドウ枠や隅を掴んで拡大・縮小できる。

この例では、プローブをインダクタu1にドロップして、開いたメニューから観測に適切な方向の電流i(p1)を選択します(図2、図1参照)。i(p1)を選択するとすぐにインダクタを流れる電流の波形がWaveboxに表示されます(図3)。

図3. プローブをインダクタu1にドロップして、電流i(p1)を選択しインダクタを流れる電流を表示

プローブをインダクタu1にドロップして、電流i(p1)を選択しインダクタを流れる電流を表示。

表示波形の拡大・縮小

波形の拡大は、左クリックしながら波形の拡大したい範囲を指定します。拡大した範囲を元に戻すには、右クリックでメニューが開きますので、そこでView Allを選択すれば全体波形に戻ります(図4)。

図4. Waveboxの表示波形の拡大・縮小

Waveboxの表示波形の拡大・縮小。

Waveboxを差動プローブとして使う

Waveboxには、画面の左下にプローブの表示があります。このプローブをドラッグ&ドロップすると、そのWavebox内にドロップした部分の波形を追加することができます。また、2本のプローブの観測結果を演算して表示することができます。以下を例として説明します。

●例:xQ1(SCT3080KL)のVGS波形を表示する

最初に、回路図ツールバーからプローブをxQ1のゲート配線にドラッグ&ドロップします。すぐにWaveboxが開きゲート端子の電圧波形が表示されます(図5左)。開いたWaveboxのタイトルある「net13」というのは、xQ1のゲート配線に割り当てられた名称です。各配線にカーソルを当てると、それぞれの名称が表示されるので確かめてみてください。

続いて、Waveboxの左下にあるプローブをxQ1のソースにドラッグ&ドロップすると、同じWaveboxの中にソース端子の電圧波形が追加表示されます。同時にタイトルバーにはソース配線名の「net75」が追加されます(図5右)。
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図5. MOSFETのゲートとソースにプローブを当てて1つのWaveboxに2つの観測波形を表示

MOSFETのゲートとソースにプローブを当てて1つのWaveboxに2つの観測波形を表示。

ここで注意することがあります。この状態で観測されているはゲートとソース端子の電圧(GND基準)であって、ゲート‐ソース間電圧VGSではありません。VGS波形を観測するには、各端子電圧の差分を求める必要があります。プローブには、2本のプローブが観測した値を演算して表示する機能があります。これを利用してVGS波形を表示させます。

net13(ゲート端子)とnet75(ソース端子)の電圧波形を表示しているWavebox上で、右クリックするとメニューが開くので「Math Operation」にカーソルを移動し、さらに開いたメニューから「net13-net75」を選びます(図6左)。そうすると、net13からnet75を差し引いた結果、つまりVGS波形が表示されます(図6右。時間軸を拡大済み)。この場合2本のプローブは差動プローブとして機能していることになります。

図6. 2本のプローブを差動プローブとして機能させVGSを表示

2本のプローブを差動プローブとして機能させVGSを表示。

Waveboxの複数波形の表示形式

Wavebox上で右クリックするメニューが開きます。メニューの「Display Mode」には、「Multi Trace」と「Overlaid」が選択できるようになっています。Multi Traceは複数の波形グラフをそれぞれ並べて表示(図7左)、Overlaidは重ねて表示します(図7右)。波形比較時に目的に合った表示形式を選べるので便利です。

図7. Waveboxでの複数波形の表示形式:Multi Trace(並べて表示)とOverlaid(重ねて表示)

Waveboxでの複数波形の表示形式:Multi Trace(並べて表示)とOverlaid(重ねて表示)

Waveboxのカーソル操作

Waveboxにカーソルを追加して、カーソル位置のX軸、Y軸の値を数値で読み取ることができます。Wavebox上で右クリックするとメニューが開くので、「Add Cursor」を選択するとカーソルが表示されます(図8左)。カーソルは複数追加することができます。

図8. Waveboxのカーソルの追加

ROHM Solution Simulator:Waveboxのカーソルの追加。

カーソルの移動はカーソルを掴んで移動するか、カーソルを右クリックして「Set X Value」を選び数値を直接入力します(図9)。
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図9. Waveboxのカーソルの移動と削除

Waveboxのカーソルの移動と削除。

カーソルの削除は、カーソルを右クリックすると、Set X Valueともに「Delete」が表示されるので(図9左)、Deleteを選びます。

Waveboxの波形データをCSVファイルに出力しダウンロード

Waveboxの波形データはCSV形式のファイルとしてダウンロードできます。データは表計算ソフトウェアなどを使った詳細解析などに利用できます。Wavebox上で右クリックするとメニューが開きます。「Download Waveforms」をクリックすると、CSVファイルのダウンロードが始まります(図10)。

図10. Waveboxの波形データのダウンロード

Waveboxの波形データのダウンロード。

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