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2018.07.31 シミュレーション
SPICEベースのシミュレータでどんなことかができるのか、代表的な解析機能と概要について紹介します。
SPICEシミュレーションの種類
SPICEベースのシミュレータがもっている代表的な機能をまとめました。ハイライトしたDC解析、AC解析、過渡解析、モンテカルロは、ほとんどのシミュレータソフトウェアに搭載されているよく知られた解析機能です。この4種類について若干の説明をします。今回は、DC解析、AC解析、過渡解析についてです。
解析方法 | 機能/特徴 |
---|---|
DC解析 | 静特性の解析。(データシートDC特性全般) |
AC解析 | 周波数特性の解析。(容量、利得-位相) |
過渡解析 | 時間応答の解析。(オシロスコープ) |
モンテカルロ | 回路要素にバラツキを反映させたシミュレーション。 ※モデルにバラツキを記述する必要あり。記述形式はソフトによって異なる。 |
Sパラメータ | 高周波特性の解析。 |
フーリエ解析 | 高調波解析と信号の歪解析。 |
ノイズ解析 | 測定ポイントでのノイズ解析。 ※モデルにノイズが含まれていないとノイズは発生しない。 |
SPICEシミュレーション:DC解析、AC解析、過渡解析
これらの解析は、デバイスや回路を評価する場合の基本中の基本なのであえて説明するまでもないかもしれませんが、以下に例を示します。
DC解析は、静特性の解析です。上記の例では、MOSFETのVDSに対するIDの変化をシミュレーションしています。一般にトランジスタやICなどのデータシートの規格値にはDC特性とAC特性があります。DC解析はデータシートのDC特性全般のシミュレーションが可能です。
AC解析は、主に周波数に関連した特性の解析が可能です。代表的なものとして、周波数に対するインピーダンスや利得-位相特性の解析があります。上記の例は、フィルタ回路の周波数に対する利得と位相特性のシミュレーションです。
過渡解析は、時間応答の解析です。上記の例はフィルタのステップ応答ですが、スイッチング電源の負荷過渡応答の評価にもよく利用されます。過渡解析はオシロスコープで波形観察を行うイメージです。
各種シミュレータには、これらの解析を行う電流/電圧ソース、ファンクションジェネレータ(発振器)、電流/電圧測定などのための様々な機能を備えており、測定結果をグラフ化することができます。
次回は残りのモンテカルロについての説明をします。
・SPICEベースのシミュレータはDC解析、AC解析、過渡解析、モンテカルロ、Sパラメータ、フーリエ解析、ノイズ解析などの機能を備えている。
・DC解析、AC解析、過渡解析、モンテカルロは、ほとんどのシミュレータソフトウェアに搭載されている。