この記事のキーポイント
・サーマルダイナミックモデルは、サーマルモデルを内蔵し自己発熱により特性が変化するSPICEモデル。
・サーマルダイナミックモデルは、デバイスのサブサーキットモデルにサーマルモデルが付加されたモデルである。
・内蔵されているサーマルモデルでTjを算出し、そのTjをデバイスの電気特性に反映する。
前回は、熱に関するシミュレーションを行うためのSPICEモデルの1つであるサーマルモデル(Thermal Model)の概要を説明しました。今回はもう1つの熱シミュレーション用SPICEモデルであるサーマルダイナミックモデル(Thermal Dynamic Model)に関する概要を説明します。
サーマルダイナミックモデルとは
サーマルダイナミックモデルは、前回説明したサーマルモデルを内蔵し自己発熱により特性が変化するSPICEモデルです。部品の損失とモデルに内蔵されているThermal ModelでTjを算出し、そのTjを部品の電気特性に反映させます。
以下はサーマルダイナミックモデルのソース例です。部品がSiCショットキーバリアダイオード(SCS220)になっていますが、考え方は上図と同じで、SiC-SBDのサブサーキットモデルにサーマルモデルが付加されています。
サーマルダイナミックモデルの使用例を示します。回路は最初に示した模式図と考えてください。Q1はSiC-MOSFETで、ヒートシンクを備えており、条件としてはTa=25℃が与えられています(Ta端子に25VDCを印加)。MOSFETのスイッチングによってTjが上昇し(上段のグラフ)、Tjの変化によりQ1の特性が変化(中段、下段)することことが、シミュレーション結果として得られています。