A/Dコンバータ|基礎編

ADC 基本形4(ΔΣ型)

動作

アナログ信号をオーバーサンプリングし、それをΔΣ変調を用いてアナログ信号の振幅に応じた低ビットデータ(例えば1ビット)に変換後、デジタルフィルタで帯域外のノイズ除去とデータの間引きを行うことで本来のサンプリング周波数でのデジタル信号への変換が完了します。

オーバーサンプリング

本来のサンプリング周波数より高い周波数で標本化することで、量子化誤差を小さくします。

10kHzの場合をイメージした例

ΔΣ変調

オーバーサンプリングによって標本化した電圧と、D/Aコンバータ(DAC)出力電圧との差(Δ)を積分器で積分(Σ)します。積分した値を比較器(コンパレータ)で基準電圧との大小を比較することで低ビットデータに変換します。
出力データを1サンプルリング遅延させて入力にフィードバックさせることで、比較器(コンパレータ)で発生する量子化誤差が低周波数領域で小さく、高周波数領域で大きくなるように変調がかかります。

ΔΣ変調 イメージ

ΔΣ変調器から出力される低ビットデータは、本来の信号成分に加えて高周波領域に大きな量子化誤差成分を持っています。しかし、これらの成分は周波数的に離れており、デジタルフィルタで量子化誤差成分のみを除去できるため、他の方式では不可能な高分解能が実現できます。

特徴

  • A/Dコンバータ基本形の中で最も高分解能です。(32ビット程度まで)
  • 一般的に逐次比較型と比べ変換速度は遅いです。
  • 応答性が悪いため、入力にマルチプレクサを接続して高速にアナログ信号を切り替える用途には向きません。

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