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2021.05.25 EnOcean

日本向け周波数製品を海外向けに移行する際の注意点

EnOcean無線周波数への対応

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日本向け無線周波数のEnOceanモジュールを用いて日本向けに開発したシステムをベースに、海外向けシステムへ移行展開する場合があると思います。その際の注意点をまとめます。

EnOceanモジュールの日本向け製品と海外向け製品との違い

最初に、EnOceanモジュールの日本向け製品と海外向け製品との違いについて説明します。例として、送信デバイスに温度センサモジュール「STM 431J」、受信デバイスに送受信モジュール「TCM 410J」を使った場合を想定します。以下の表は、TCM 410J相当の各国向けに用意されているモジュールとそれらの仕様の比較です。

EnOceanモジュールの国向けの仕様の比較

まず、周波数帯、変調方式、ERP(EnOcean Radio Protocol)に違いがあります。TCM 310とTCM 300は欧州向けです。使用周波数は868.30MHzで、変調方式はASK、無線プロトコルはERP1です。TCM 310UとTCM 300Uは北米向けです。使用周波数は902.875MHzで、変調方式はFSK、無線プロトコルはERP2です。日本向けには、TCM 410Jのみ用意されています。使用周波数は928.35MHzで、変調方式はFSK、無線プロトコルはERP2です。

次に、デフォルトで実装されているファームウェアと、使われているESP(EnOcean Serial Protocol)にも違いがあります。TCM 300、TCM 300Uは、シリアルプロトコルはESP2で、ファームウェアはプログラマブルトランシーバとしての機能が実装されています。TCM 310、TCM 310U、TCM 410Jは、シリアルプロトコルはESP3で、ファームウェアは受信した信号をそのままパス・スルーするゲートウェイとしての機能が実装されています。

最後に、ESPで使われるPacket Typeの違いです。海外向けはPacket Type=1ですが、日本向けTCM 410JだけがPacket Type=10を用いています。

以上が違いになります。この違いを念頭に置き、日本向け製品から海外周波数製品への移行する際の注意点をまとめます。

日本向け周波数製品を海外向けに移行する際の注意点

使用周波数帯、変調方式、ERPの違いは、受信データには現れないので、特に注意はいりません。デフォルトで実装されているファームウェアとESPは、TCM 310とTCM 310UがTCM 410Jと同じです。したがって、日本向けTCM 410Jと互換性の高いモジュールはTCM 310とTCM 310Uになります。

■ハードウェア上の注意点
TCM 410J、TCM 310、TCM 310Uはピン互換となっています。周波数に応じて接続するアンテナを選択する必要があります。

■ソフトウェア上の注意点
EnOceanから送られてくるデータをホストCPUで解釈する際、シリアル通信部分(ESP3)のPacket typeが異なっています。

 TCM 410J ⇒ Packet type 10
 TCM 310、TCM 310U ⇒ Packet type 1

Packet typeが1と10ではデータ配列が異なり、取得するデータ位置、内容が異なります。またスイッチモジュールにおいては、Packet typeが1と10ではデータ自体が異なります。以下に、Packet typeが1と10で、データ配列が異なっている例を示しています。パケット中のIDとDATAの位置が入れ替わっていることに注意してください。詳細はESP仕様書を確認願います。

EnOcean温度センサモジュール TCM410と海外向け該当モジュールのPacket typeの違い

別のモジュールの例を示します。日本向けスイッチモジュール「PTM 210J」に対する海外向け製品は、PTM 210とPTM 210Uになります。スイッチモジュールが送信するデータは、受信モジュールのPacket typeによって自動的にEEPの認識をしてデータをシリアルで送信します。そのため、Packet type 10とPacket type 1では、以下の例ようにEEPやデータが異なります。詳細はEEP仕様書を確認願います。

 Packet type 10 ⇒ Data:80、EEP:F6-02-04など
 Packet type 1 ⇒ Data:10、EEP:F6-02-01など

上記とは逆に、海外の周波数に対応した製品から日本向け周波数の製品へ移行する場合についても、EnOcean GmbHより資料が提供されています。日本向けと海外向け製品の違いなどが解説されていますので参照してください。

<関連資料の入手先>

●EnOcean Serial Protocol ESP3 Specification (EnOcean GmbH)
https://www.enocean.com/fileadmin/redaktion/pdf/tec_docs/EnOceanSerialProtocol3.pdf

●EnOcean Equipment Profile Specification (EnOceanアライアンス)
https://www.enocean-alliance.org/wp-content/uploads/2020/07/EnOcean-Equipment-Profiles-3-1.pdf

●EnOcean 928 MHz (Dolphin V4 Platform) – Migration Overview(アプリケーション・ノート【AN009】)
https://www.enocean.com/fileadmin/redaktion/pdf/app_notes/AN009_EnOcean_928_MHz_Migration_Overview.pdf

●Knowledge Base & System Specification (EnOcean GmbH)
https://www.enocean.com/en/support/knowledge-base/

キーポイント:

・日本向けに開発したシステムをベースに海外向けシステムへ移行展開する場合には、モジュールの仕様の違いを確認して対応する必要がある。

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