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2020.04.28 EnOcean
前回のソフトウェア開発フローに続いて、少し具体的な設定変更やファームウェア開発の例を説明して行きます。今回はモジュールコンフィグレーション情報の設定変更の例です。
EnOceanモジュールのコンフィグレーション情報設定変更例
温度センサモジュールSTM 431Jに湿度センサHSM 100を装着して温湿度センサとして利用するために、温度センサモジュールSTM 431Jのプロファイルを変更します。
<使用するソフトウェア>
・Dolphin V4 Module Configurator(※)
・DolphinView
※現在のバージョンではタブの構成など異なる部分がありますが、本記事と同様の手順で設定変更が可能です。
Module Configuratorツールを使用して、コンフィグレーション設定からモジュールへの書き込み、評価までの一連のフローを示します。この例では、モジュールにデフォルトで搭載されているファームウェアによって予め準備された範囲でのコンフィグレーション設定機能を用いるため、新たなソフトウェア開発を必要としません。STM 431Jを簡単に動かしてみたい場合の例です。
具体的には、Dolphin V4 Module Configuratorによって、コンフィグレーション情報であるEEP(EnOcean Equipment Profile)を変更します。この場合、温度センサ用のEEP:A5-02-05(Temperature Sensor)を、温湿度センサ用のEEP:A5-04-01(Temperature and Humidity Sensor)に変更します。
<ハードウェアの接続>
STM 431JのEEPを変更するためには、開発キットEDK 400Jに同梱されているプログラミングボードEOP 350を用います。最初に、下の写真のようにSTM 431J(アンテナ付き緑の基板)をEOP 350に接続します。EOP 350はUSBケーブルでパソコンに接続します。
STM 431JをEOP 350への装着する際には、予めSTM 431Jのコネクタに接続されているジャンパーピンを取り外す必要があります。また、小さな部品なので紛失に注意して下さい。
また、STM 431JをEOP 350へ装着・脱着する際には、モジュール基板のたわみ・反りに注意が必要です。場合によっては、ソーラーパネルがモジュール基板から剥離する恐れがあります。
<ソフトウェアの起動と操作>
ハードウェアの接続が済んだら、PCでDolphin V4 Module Configuratorを起動します。Module Configuratorツールでは、各EnOceanモジュールに対する専用タブが用意されていますので、ここでは上部タブの中から「STM 431J」を選択します。タブを選択すると、選択したモジュールのコンフィグレーション設定画面が現れますので、下図のようにProfileの項目を「EEP A5-04-01 Temperature and Humidity Sensor」に変更します。
次にメニューバーにある「Write configuration to flash」クリックして、設定の書き込みを行います。
画面下部にある「Output Log」ビューに、すべて「OK」が表示されると書き込み完了です。
「Output Log」ビューですべてが「OK」であることを確認したら、STM 431JをEOP 350プログラミングボードから取り外し、HSM 100をSTM 431Jに接続します。
最後に動作確認を行います。DolphinViewでEEPが変更されているかどうか確認します。
参考として、DolphinViewでの表示例を示します。PCに受送信モジュールUSB 400Jを接続してDolphinViewを起動し、EEPを変更したSTM 431JのLRNボタンを押してテレグラムを確認します。
STM 431JのLRNボタンを押すと、そのモジュールに現在設定されているEEPが受信機に通知されるので、それをDolphinView上で確認することができます。表示された「EnOcean Equipment Profile」の内容から、EEPが「A5-04-01 Temperature and Humidity Sensor」に設定変更されています。
また、STM 431Jによって取得された温度データに加えて、接続したHSM 100による湿度データも画面上に表示されています。
以上、Module Configuratorを使ってEEPを変更し、STM 431JにHSM 100を接続して、温湿度センサとしてデータを無線送信しUSB 400Jによって受信することでPCに取り込む例を説明しました。他にもSTM 431J単体やEEP変更以外の各種コンフィグレーション設定も可能となっていますので、いろいろ試してみて下さい。
・コンフィグレーション情報の変更には、Dolphin V4 Module ConfiguratorによりEEP(EnOcean Equipment Profile)を変更する。
・この例では、温度センサ用EEP:A5-02-05を温湿度センサ用EEP:A5-04-01に変更。
・EEPの変更には開発キットEDK 400Jに同梱されているプログラミングボードEOP 350を用いる。
・変更の確認はDolphinViewを利用可能。