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2021.01.26 センサ
光の検出を利用するセンサには多くの種類があります。すでに紹介した照度・近接センサや、光電脈波法を利用した脈波センサも光センサに含まれます。今回は、光センサのなかで最も基本的なフォトダイオードとフォトトランジスタついて説明します。
光センサとは
光センサは基本的に、受光素子が受けた光を電気エネルギーに変換し、その電流を利用するセンサの総称です。単純な光の有無から強弱、また色を検出するなど多様です。自然光をはじめ発光ダイオードなど様々な光源に対応します。光センサの基部は受光素子であり、最も基本的な素子としてフォトダイオードとフォトトランジスタがあります。これらのアプリケーションは多種多様で非常に広範囲です。
フォトダイオードとは
フォトダイオードは、最もシンプルな光-電気エネルギー変換素子です。その構造はp型n型の半導体のpn接合からなり、通常のpn接合整流ダイオードと基本的に同じです。V-I特性は、暗状態では通常のダイオードと同様(下図青色曲線)ですが、フォトダイオードはpn接合が受光するとV-I特性が下方にシフト(下図赤色曲線)します。このとき、カソード側からアノード側に流れる逆電流を光電流と呼びます。光電流は、ほぼ照度(入射光量)に比例します(グラフ参照)。また、逆電流を出力とすることから、通常は逆バイアスで使用します。
フォトダイオードの出力電流(光電流)は一般的にµA台と小さな電流なので、一旦トランジスタやオペアンプなどで受けて増幅してから利用するのが基本になります。また、照度(入射光量)に対して出力電流の直線性が比較的高い、応答速度が速いといった特徴を持っています。
実際のフォトダイオードの例としてRPMD-0100の仕様を示します。
パッケージ | 可視光 カット |
絶対最大定格 | 標準特性 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
VR (V) |
PD Max. (mW) |
光電流 (µA) |
暗電流 (nA) |
λP (nm) |
tr,tf (ns) |
θ1/2 (deg) |
||
表面実装タイプ (トップビュー) |
有 | 60 | 30 | 8 | 6Max. | 940 | 100 | 60 |
フォトトランジスタとは
フォトトランジスタは、フォトダイオードとトランジスタが一体化した構造になっており、フォトダイオードの出力電流(光電流)をトランジスタで増幅してから出力する素子です(下図参照)。フォトダイオードの光電流は、µA台で、通常このレベルの微小電流をそのまま扱うのは困難なため、フォトトランジスタはそれをmA台に増幅して出力します。また、増幅により照度が低い=光電流が小さい場合でも十分な出力が得られるので感度を上げることにもつながります。
図では、NPNトランジスタのコレクタ-ベース間にフォトダイオードが接続されているようになっていますが、実際にはNPNトランジスタのベース(p型)とコレクタ(n型)のpn接合がフォトダイオードの機能を担っています。ここで発生した光電流はトランジスタのベース電流となり、トランジスタのhFE分増幅されたコレクタ電流Ic(出力電流)が流れます。出力電流は基本的に照度に比例します。フォトトランジスタは、その構成と動作の違いから、フォトダイオードに比べて応答速度は遅くなっています。
下表に実際のフォトトランジスタの仕様とデータシートのリンクを示しますので参考にしてください。
パッケージ | 品名 | 特長 | 可 視 光 カ ッ ト |
絶対最大定格 | 標準特性 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
VCEO (V) |
PC Max. (mW) |
ICEO Max. (µA) |
VCE (V) |
IC (mA) |
λP (nm) |
tr,tf (ns) |
θ1/2 (deg) |
||||
φ3樹脂 | RPT-34PB3F | 可視光 カット |
有 | 32 | 150 | 0.5 | 10 | 2.0Min. | 800 | 10 | 36 |
RPT-37PB3F | 可視光 カット、 極性判別可 |
有 | 32 | 150 | 0.5 | 10 | 2.0Min. | 800 | 10 | 36 | |
RPT-38PB3F | 可視光 カット |
有 | 32 | 150 | 0.5 | 10 | 2.0Min. | 800 | 10 | 36 | |
サイドビュー 樹脂 |
RPM-20PB | 可視光 カット |
有 | 32 | 100 | 0.5 | 10 | 0.5Min. | 800 | 10 | 14 |
RPM-22PB | 可視光 カット、 広指向性 |
有 | 32 | 100 | 0.5 | 10 | 0.48Min | 800 | 10 | 32 |
・光センサは基本的に受光素子が受けた光を電気エネルギーに変換し、その電流を利用するセンサの総称。
・フォトダイオードは最もシンプルな光-電気エネルギー変換素子。
・フォトトランジスタは、フォトダイオードとトランジスタが一体化した構造になっており、フォトダイオードの出力電流(光電流)をトランジスタで増幅してから出力する素子。