電源設計の技術情報サイト

技術資料ダウンロード

2019.11.26 AC/DC

ダイオード整流と同期整流の効率比較

AC/DCコンバータの効率を向上する二次側同期整流回路の設計

  • Facebookでシェア
  • Twitterでシェア

今回は、二次側置き換え前のダイオード整流方式のAC/DCコンバータと、二次側を二次側同期整流用電源ICのBM1R00147Fで置き換えたAC/DCコンバータの効率を比較したデータを示します。

二次側ダイオード整流方式AC/DCコンバータと二次側同期整流方式AC/DCコンバータの効率比較

既存の二次側ダイオード整流方式のAC/DCコンバータの二次側を、二次側同期整流用電源ICによって同期整流化し効率を改善することを目的に、この章では設計事例を示してきました。ここで、置き換え前の二次側ダイオード整流方式、BM1R00147Fによる置き換え後のハイサイドタイプとローサイドタイプ、計3つの評価ボードを使って効率を実測した結果を示します。測定条件は、入力電圧400VDC、出力電圧5VDC、出力電流0~10Aです。

二次側ダイオード整流方式AC/DCコンバータと二次側同期整流方式AC/DCコンバータの効率比較(全体)/(拡大)

左のグラフは出力電流(Iout)全域の効率を示しています。橙色のプロットは置き換え前のダイオード整流方式の効率です。青と赤は同期整流方式に置き換えた後の効率で、青がローサイドタイプ、赤がハイサイドタイプですが、ほぼ効率が同じためハイサイドタイプの赤いプロットはローサイドタイプの青に隠れています。このグラフでも橙のダイオード整流方式の方の効率が劣っているのがわかりますが、右側に縦軸を拡大したグラフを示しました。

結果として、最大負荷10A時には、置き換え前の二次側ダイオード整流方式の効率は77.3%で、置き換え後は81.3%(ローサイド)、81.6%(ハイサイド)と4%の効率改善が確認できます。

この効率の差は、二次側整流ダイオードと置き換えたMOSFETの損失の差が支配的です。二次側整流ダイオードには一般にFRD(ファストリカバリダイオード)や(ショットキーバリアダイオード)などが使われます。一般に事例の電力で使うこれらのダイオードのVFは0.5A~1Vほどなので、単純な導通損失はVF×Ioutから、VFを1Vと仮定し、Iout=10A時の損失を計算すると10Wの導通損失になります。一方、置き換えに使ったMOSFETの導通損失Ron×Iout2は、Ron=4mΩ(MOSFET仕様より)の場合0.4Wとなり、ダイオードの1/25です。

もちろん、実際の効率はスイッチング損失など他の損失要因をすべて加味しなければならないのでこの様に単純な比較にはなりませんが、二次側の整流素子の損失が支配的であることはイメージできると思います。したがって、ダイオード自体のVF特性を大きく改善できない現状において、二次側ダイオード整流方式のAC/DCコンバータの効率を大きく改善するには、二次側同期整流化が有望な選択肢になると言えます。

参考として、使用した評価ボードの回路図と部品表を示します。ここで提示した効率は、あくまでもこの評価における結果で、使用部品の特性のばらつきや基板レイアウト等の違いよって変動する可能性があることをご理解願います。

BM1R00147FによるAC/DCコンバータの同期整流化回路例(ローサイドタイプ)

BM1R00147FによるAC/DCコンバータの同期整流化回路の使用部品例(ローサイドタイプ)

BM1R00147FによるAC/DCコンバータの同期整流化回路例(ハイサイドタイプ)

BM1R00147FによるAC/DCコンバータの同期整流化回路の使用部品例(ハイサイドタイプ)

次回は基板レイアウトの注意点についての説明を予定しています。

キーポイント

・従来の二次側ダイオード整流方式と置き換えの同期整流方式の効率は、明らかに同期整流方式のほうが高い。

・同期整流方式のハイサイド方式ローサイド方式では、効率の差はほとんどない。

・効率の差の支配的要因は、ダイオード整流のダイオードにおける損失(VF)と同期整流のMOSFETの損失(VDS)の違い。

PWM方式フライバックコンバータ設計手法