この記事のキーポイント
・二次側同期整流化においても、基板レイアウトに関する注意点のほとんどは、スイッチング電源回路におけるレイアウトの基本に基づく。
今回は、この設計における実装基板(PCB)のパターンおよび部品のレイアウトに関する注意点についてです。
実装基板レイアウトに関する注意点
以下の回路図(ローサイドタイプ)を例にして、基板レイアウトに関する注意点をまとめました。回路固有の要件もありますが、ほとんどはスイッチング電源回路におけるレイアウトの基本に基づくものです。注意が必要なポイント①から⑦を回路図に示してあります。
ポイント①:VCCラインがスイッチングノイズの影響を受けた場合、誤動作する可能性があります。そのためコンデンサCVCCをVCC端子とSR_GND端子間に独立配線で、できる限り端子の近くに接続することを推奨します。
ポイント②:SH_IN端子に接続するラインはハイインピーダンスラインです。クロストークを避けるため、できる限り配線は短くして、スイッチングラインと並行しないようにレイアウトしてください。
ポイント③:MAX_TON端子はスイッチングの影響を受けると強制OFF時間に影響がでるため、できる限りMAX_TON端子近くにRTON、R3、C1を接続し、SR_GND端子に独立配線で接続することを推奨します。
ポイント④:同期整流制御では二次側MOSFET M2に発生したVDS2を正確にモニターする必要があるため、ICのDRAIN端子をM2のドレインに、SR_GND端子をM2のソースに必ず独立配線で接続しください。
ポイント⑤:シャントレギュレータGND(SH_GND)は、二次側出力のGNDに、帰還抵抗RFB1、RFB2は二次側出力VOUTに独立配線で接続することを推奨します。
ポイント⑥:DRAIN端子は、0V-100V程度の振幅を持つスイッチングラインになるので、できる限り短く細く配線してください。
ポイント⑦:MOSFET M2のドレイン-ソース間にスナバ回路を挿入する場合、トランス出力とM2のソースに独立配線でできる限り短く太く配線してください。
以下に基板レイアウトの例を示します。左は表面、右は裏面で、上記のポイント①~⑥までを示してあります。レイアウトのイメージとして参考にしてください。
次回は、最後のまとめを行います。
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