無線通信|基礎編

近距離無線通信

近距離無線通信の区分

近距離無線通信の詳細な区分はありませんが、一般的には先述のWPANやWLANレベルの通信距離に使われている無線通信を指します。
最近では、マルチホップを利用して、FAN (Field Area Network)などの広範囲な通信への広がりをみせています。

マルチホップ

端末同士が直接相互通信するシングルホップに比べ、他の端末を経由することでより広範囲の端末との通信を可能にします。マルチホップは、通信距離が延びるだけでなく、障害物に強いという利点もあります。

中継機能 シングルホップ マルチホップ
 

近距離無線通信の特長

ここでは、代表的な近距離無線通信の特長を比較します。

特長

下のグラフは、横軸を通信距離、縦軸をデータ転送レート(通信速度)で表したイメージ図です。右にいくほど通信距離が長く、上に行くほど通信速度が速くなります。

【近距離無線通信比較1】

近距離無線通信比較1

【近距離無線通信比較2】
  Bluetooth® Wi-Fi EnOcean 特定小電力
狭帯域 広帯域
Wi-SUN
周波数帯 2.4GHz帯 2.4GHz帯 5.0GHz帯 315/868/905/
920MHz帯
426/
429MHz帯
900MHz帯
通信距離 ~10m 数100m ~200m ~1km
伝送速度 1Mbps~ 11Mbps~ 125kbps ~9600bps 50kbps~
利用可能
チャンネル
79 13 19 46
送信
時間制限
なし なし あり あり
変調方式 FSK/PSK DSSS/OFDM ASK/FSK FSK

変調方式については次ページをご参照下さい

Bluetooth®
WPANに代表されるのが、Bluetooth®です。周波数帯 (2.4GHz)を使用します。ゲームコントローラのセンサー情報や、携帯機器からスピーカへの音声、音楽などデータを絶えず通信する用途にはBluetooth®の早い通信速度が有効になります。
EnOcean
EnOceanは自然界に存在する動作や光、温度差などのごく小さなエネルギ(エネルギーハーベスト)を利用した、電源なし、メンテナンス不要で無線を伝送するシステムです。
地域によって使用周波数が違い、日本では、315MHz,928MHzの周波数を使った特定小電力無線という扱いになります。北米では315MHz,902MHz, 欧州は868MHzで対応します。
Wi-Fi
Wi-Fiは2.4GHzや5GHz帯を使用しており通信速度が速いのが特長です。通信距離も100m程度あるので、家庭内でインターネット回線の無線ネットワーク化を行うのに最もポピュラーな方式です。
Wi-SUN
日本の電力会社のスマートメータ通信用に採用されたことで大きく注目が集まっている無線通信規格です。日本では特定小電力無線と呼ばれる920MHz帯で使用され、Wi-Fiと比べると、通信速度は遅いものの、通信距離は長く、障害物にも強くてつながりやすく、低消費電力という利点があります。


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