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2020.06.30 Siパワーデバイス

ダブルパルス試験とは

ダブルパルス試験によるMOSFETのリカバリ特性評価

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Siパワーデバイスの新章として「評価編」を開設しました。「ダブルパルス試験によるMOSFETのリカバリ特性評価」では、ダブルパルス試験によってMOSFETのボディーダイオードのリカバリ特性を評価して損失の考察をします。

MOSFETのボディーダイオードのリカバリ特性とブリッジ回路の損失の関係

インバータ回路やTotem Pole型力率改善(PFC)回路など、MOSFETを2つ以上持つブリッジ回路において、上下アームを貫通する電流によってターンON損失が増大することがあります。この現象は、スイッチングしているMOSFETと逆アームのMOSFETが持つボディーダイオード(寄生ダイオード)のリカバリ特性に大きく影響を受けます。したがって、ブリッジ回路ではボディーダイオードのリカバリ特性の優れたMOSFETが優位になります。

ダブルパルス試験とは

タブルパルス試験は、MOSFETやIGBTなどのパワー系スイッチング素子の特性を評価するために広く用いられている試験方法です。この試験では、対象の素子のスイッチング特性だけでなく、ボディーダイオードやIGBTと共に用いられることの多いファストリカバリダイオード(FRD)などのリカバリ特性も評価することができます。そのため、ターンON時にリカバリ特性に起因する損失が発生する回路を想定した場合の評価試験として非常に有効です。ダブルパルス試験の基本回路図を以下に示します。

ダブルパルス試験基本回路図

また、この回路のQ1を還流用MOSFET、Q2を駆動用MOSFETとした場合のダブルパルス試験の基本動作を下記の表に示しました。基本動作は、主に①、②、③の3つに分類することができます。パルスジェネレータの電圧をVPulse、インダクタに流れる電流をIL、Q2のドレイン-ソース間電圧をVDS_L、Q2のドレイン電流をID_Lと定義した場合の、各モードの動作、電流経路、波形を示してあります。

(図化した表):ダブルパルス試験の動作概略図

動作③において、Q2のターンON時に短絡電流(ID_L赤色部)が観測されます。これはQ1のボディーダイオードのリカバリ特性によって発生します。

ボディーダイオードがONからOFFへ遷移する場合、ON時に蓄積した電荷を放電する必要があります。この時にボディーダイオードから放出される電荷量をQrr、電荷を放出することで発生する電流のピーク値をIrr、Q2の電力損失をPd_Lとすると、Q2のターンON動作は右図のように表すことができます。ID_Lの三角形の面積がQrr、三角形の高さがIrrとなります。

ブルパルス試験の動作③におけるQ2のターンON動作の概略図

一般的に、還流側素子Q1のボディーダイオードのリカバリ特性が悪くQrrが大きい場合、駆動側素子Q2のターンON損失が増大します。このため、インバータ回路のような回生電流が流れるアプリケーションやTotem Pole型PFC回路の場合には、ボディーダイオードのリカバリ特性が損失に大きな影響を与えることを考慮する必要があります。

キーポイント:

・MOSFETを2つ以上持つブリッジ回路において、ターンON損失はMOSFETが持つボディーダイオードのリカバリ特性が悪いと増加する。

・タブルパルス試験は、MOSFETやIGBTなどのパワー系スイッチング素子の特性を評価するために広く用いられている試験方法。

・対象の素子のスイッチング特性だけでなく、ボディーダイオードや外付けのファストリカバリダイオードなどのリカバリ特性も評価することができる。

・ターンON時にリカバリ特性に起因する損失が発生する回路を想定した場合の評価試験として非常に有効。

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