この記事のキーポイント
・PCB実装状態では、銅箔面積が大きくなるに従って熱が拡がりやすくなるため、放熱性が向上する。
・銅箔面積が小さ過ぎるとPMDEのRth(j-a)はPMDUよりも大きく、十分な放熱性能が発揮されない。
・銅箔面積が大きくなるに従ってPMDEの放熱性能が向上しPMDUを上回る。
・PMDEの放熱性能は、銅箔が厚いほど、より小さな銅箔面積でPMDUを上回ることができる。
・銅箔面積を必要以上に大きくしても放熱性能が飽和し、面積に見合った効果が得られなくなるので、銅箔面積は適切なサイズにする。
PMDEとPMDUの放熱性能について、シミュレーションを利用して比較します。
熱シミュレーション方法
下図が示すように、50×50×0.8t(mm)のPCB(プリント基板)おいて、デバイスを実装する銅箔サイズを段階的に広げた場合の素子温度Tjと熱の伝わり方をシミュレーションしました。銅箔面積が大きくなるに従って熱が広く拡散し、放熱がよくなることがわかります。また、PCBのガラスエポキシ部への熱伝導は非常に少ないこともわかります。このことから、十分な放熱のためには実装する銅箔面積の大きさが非常に重要だと言えます。
PCBでの放熱イメージ(シミュレーション)
PMDEパッケージの熱抵抗Rth(j-a)と銅箔面積
前出の熱シミュレーション結果を基にした、PMDEとPMDUのジャンクション-周囲間の熱抵抗Rth(j-a)と銅箔面積の関係を示します。また、Rth(j-a)に関して、PMDUを基準にした場合のPMDEの相対誤差を併せて示します。
PMDEとPMDUのRth(j-a) vs. 銅箔面積
PMDUを基準にした場合のPMDEのRth(j-a)相対誤差
銅箔面積が小さいと、PMDEの裏面放熱効果が十分に発揮されず、PMDEのRth(j-a)はPMDUよりも大きな値になります。銅箔面積が大きくなるに従ってPMDEの放熱効果が向上しPMDUとの差は小さくなり、銅箔厚t=35µmの場合は約90mm2、t=70µmの場合は約60mm2でPMDUと同等の熱抵抗になります。さらに銅箔面積が大きくなると、PMDEの放熱性はより向上して行きPMDUを上回ります。そして、2,000mm2付近から飽和し始めます。
これらの結果から、PMDEを使用して良好な放熱特性を得るには、適切な銅箔面積を確保する必要があることがわかります。銅箔面積が小さ過ぎるとPMDUよりも放熱性能が劣り、逆に大き過ぎてもそれに見合う放熱性能の向上は得られず、基板面積が無駄になります。また、銅箔が厚い方が、より小さな面積でPMDUより良好な放熱性能を得ることが可能です。